モンスター(2003)のレビュー・感想・評価
全46件中、41~46件目を表示
彼女を狂わせたのは、境遇か、性(さが)か、愛か…
シャーリズ・セロンがアカデミー主演女優賞に輝いた衝撃のドラマ。2003年の作品。
シャーリズが演じるのは、アイリーン・ウォーノス。
7人の男を殺害し、2002年に死刑が執行された実在の連続殺人犯。
それだけ聞くと悪名高いが、彼女とて最初は違った。
幸せな生活や女優を夢見る女の子だった。
しかし、現実は甘くなかった。
最低最悪の環境で、体を売って生きるしかなかった。
そんな絶望的な状況の中、同性愛の少女セルビーと出会う。
強く惹かれ合い、激しく求め合い、人生に初めて光が差す。
セルビーの為に堅気になる事を決意し、就職活動をするが、体を売って生きてきた彼女に社会は冷たかった。
再び、体を売るしかなかった。
一人の客を捕まえるが、暴力的な客で、身を守る為に殺してしまう…。
映画はアイリーンとセルビーの関係を軸に進む。
同性愛の少女と愛し合うアイリーンだが、彼女も最初から同性愛者ではなかったハズ。これまで彼女の周りに居た男共はクズゲスばかりで、唯一、セルビーだけしか信じる事が出来なかったのだろう。
恵まれぬ境遇は同じ。共に抜け出し、幸せを掴もうとする。
が、もがけばもがくほど堕ちていく。
セルビーとの生活を続ける為に、アイリーンは殺人を重ねる。
ここから彼女は狂っていく。それは、追い詰められていく精神のせいか、それとも純粋過ぎる愛のせいか…。
無論、アイリーンの大罪は絶対に許されない。厳しいが、死刑も妥当だろう。
ただ、アイリーンの生き様は胸が痛い。そう堕ちて生きるしか術が無く、たった一つの愛にすがるしかなかったのが、哀しい。
美人女優の代名詞であるシャーリズが、体重を増やし、ブスメイクを施し、嫌悪感すら感じさせる壮絶演技は圧倒的。
シャーリズも素晴らしいが、相手役クリスティナ・リッチも素晴らしい。(シャーリズはオスカー穫ったのに、クリスティナはノミネートすらされなかったのが信じられない)
二人の女優の熱演と、愛と哀しみの衝撃の実話にKOされる。
迫真の演技の力作
総合:90点
ストーリー: 85
キャスト: 100
演出: 85
ビジュアル: 70
音楽: 70
美人女優が今まで築いてきた自分の評判を失墜させかねないこれほどの役をやるのは、並大抵の覚悟ではないだろう。実際に大きな肉体改造をして作品に挑んだアイリーン役のシャーリーズ・セロンはまるで別人になっている。見た目だけではない。言葉づかいも振る舞いもまるで本物の迫力。幼いころから家族も含めた周囲のみんなに騙され裏切られ続け、誰も信じることが出来ず頼るものがないままに地の底で孤独に生き抜いてきた女がここにいた。免許もないのに動物好きだから獣医になれると思いつき、秘書の面接に履歴書も持たずに出かけるような彼女をみて、いかに悲惨な生活をしていたかがわかり哀れみを誘う。ウィキペディアによると、作中に語られる彼女の経歴は実際の経歴とは違うようだが、それにしても悲惨さという意味では似たり寄ったりのものだろう。
そんな女がただ一つ信じらる愛情が出てきたとき、本当に彼女はそのために短絡的になんでもするだろうということがよくわかる。残念ながら彼女は自分の大切なものを守る力も正しい道を知る術もなかった。その生き様が手に取るようにわかるし、それは女優の演技力によるところが非常に大きい。
セロンの圧倒的演技に隠れがちだが、セルビーを演じたクリスティーナ・リッチも素晴らしい。同性愛者ということで虐められ故郷に居場所がないけれど、何事にも控えめで特に能力もない彼女が自分の幸せを求めるときに唯一出来るのは、誰かに頼ること。保護者なしでは生きることが出来ない彼女は、自分でしたいことは自分でする力もなく、流されて生きる弱さをさらけ出す。彼女は彼女なりの小さな幸せを望んだだけ。だからまだあどけない彼女を手にして小さな幸せを知れば、彼女を守りたくなりもう手放したくなくなるのだろう。犯罪者の傍らにいる役という意味で共通点もある「バッファロー'66」に出ていた時と随分と体型も雰囲気も違っていて最初は誰なのかわからなかったが、彼女の演技が作品の両輪として機能している。
この二人の演技がとにかく作品を魅力的にしているのだが、同時にこれは社会の暗部を見せた社会派作品である。格差が激しく貧困層が多いアメリカは誰も頼る人がいない似たような境遇の人は多いだろうし、格差の広がる日本の将来像を示しているようにも感じる。「フローズン・リバー」や「ツォツィ」と並んで、貧困に苦しみ社会から見捨てられ犯罪に手を染める人々の生活を見事に抉り出している。
実際の事件を基にした映画ということだが、ウィキペディアによるとアイリーンはずっと若いころからたくさんの犯罪を重ねている人物のようで、彼女が社会の歪が生んだ被害者ともとれる映画の内容とは異なる部分もある。ディスカバリー・チャンネルでも同じ邦題で番組が制作されていて、やはり彼女の素行は悪かったがその反面悲惨な家庭環境があって、家出をして一人生活するために荒れた生活になったのはやはり事実のようだ。それでも彼女は恋人に愛情を示し、彼女のために自己犠牲となる行動をしていて、生まれついての怪物ともとれない。真実の彼女がいったいどうだったのかはわからない。しかしたとえ実際の人物像がどうであったとしても、映画としてはとても良く出来ている。
リアルな恐怖…
2010/09/18 23:44
シャーリーズ・セロン凄いや…
迫力ある演技に圧倒されっぱなしでした。
物語も実話という事で一つ一つの出来事、自分とゎ全く違った環境で生きる彼女をもっと知りたいと思ってしまう。
1つの殺人がなぜ次の更に次の殺人に繋がってしまったのか…
もう自分でゎ止められなくなってしまったんだろうな。
しかし、セルビーに苛立たずにいられない…というか実名ゎネット上出てるしなぜこの映画でゎNGなんだ?
もっと彼女が相手をちゃんと理解していたら…愛するって事を間違っていなかったら…
*モンスター*なんて作品うまれなかっただろうな。
もちろんハッピーエンドなんてあり得ないし、結局結末ゎわかりきってる…
見終わってもリアルな恐怖が抜けなかった。
なかなかこんなインパクトがあって考えてしまう作品にゎ出会えないと思った。
観て気持ちが悪くなる映画・・・
シャーリーズ・セロンが主演女優賞をとった映画だということと、迫真の演技(13キロ太ったり)という予備知識で観たのですが、ある意味主人公のやること、セリフ、考え方全てが気持ちが悪く、観た後で気持ち悪さいっぱいの映画です。そう思わせることを狙ったのならこの監督120点満点です。演技としても素晴らしいのですがひょっとして素晴らしすぎるかも??最期にクリスティーナ・リッチ太りすぎ。役作りで13キロ太ったシャーリーズ・セロンに付きあったのかってくらい太ってました(笑)
全46件中、41~46件目を表示