劇場公開日 2004年9月25日

「あまりに哀しすぎる」モンスター(2003) JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あまりに哀しすぎる

2017年9月3日
iPhoneアプリから投稿

ストーリー
もう序盤から結構ダメだった。というのも貧しい環境から娼婦という商売しか出来なくなった女性の生きる術がこういう形しか無かったというのが非常に現実味を帯びていたからである。就職しようと努力したもののああいう結果に陥ってしまう主人公の不器用さ非常識さ。

キャスト
シャーリーズセロンの映画ですよね。そりゃ見た目も凄いですよ、でもそこだけじゃなく仕草や目線ひとつひとつも作り込まれている。しかも断片に美しさが見えたりする。すごく不思議な人物となる。クリスティーナリッチも珍しくボーイッシュなかんじで、たぶん役作りでちょっと太ってるよね?ギプスで洗面台を叩くシーンでは、洗面台を壊し自身の腕にアザを作ってしまったらしい。

監督
女性監督だからオシャレで美しいものに仕上げまであるかと思っていたがそんなことはなかった。人工的なものは排除されより現実的で、実際にどこかにこんな女性がいてこんな人生があると思わされた。さらにこれは愛のために殺人を犯すという結構シンプルなストーリーだが、彼女の娼婦という仕事やバックグラウンドを映し出すことで作品に重みを与えた。彼女は娼婦を仕事の1つとして考えているし、彼女の性格も魅力として捉えている。だからこれほどに彼女の宿命が悲しい。

彼女たちはアイリーンの不幸な環境にも関わらず希望を持って生きたことを尊敬しているようだったし、同情している。シャーリーズセロンも自身がアイリーンになりきることで、彼女がその容姿によって受けた差別を思い知った。
「殺人も売春もしないという人たち。環境が変わればありえないことじゃない。自分は違うという傲りは愚かしい」

JYARI