「フィルム・ノワールはいいもんだ」深夜の告白 悠さんの映画レビュー(感想・評価)
フィルム・ノワールはいいもんだ
フィルム・ノワールを撮るなら、絶対的な闇である漆黒が必要だ。そして、闇を際立たせる光も重要である。その点で言うなら白黒映画が圧倒的に有利である。
レイモンド・チャンドラーが脚本にクレジットされていることから、筋書きはかなりノベルチックである。主人公の男が自分の罪を告解していくところから物語は始まる。
意外だったことは会話シーン以外であまりにカットを切らないところ。かなりの長回しが随所に散りばめられ、ことさらそれを誇示するでもないところがよかった。ドラマに弛緩を持たせない効果を持っていた。
この映画に限らず、フィルム・ノワールは女のために男が冒険(犯罪)を犯す。それは男の自己犠牲であり、女が男に尽くすかのような錯覚を与え、人生で最も甘美な快楽を観客に与える。
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