劇場公開日 1953年12月12日

「これは間違いなく一級品だ。」深夜の告白 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これは間違いなく一級品だ。

2024年12月6日
PCから投稿

不倫相手の人妻から、夫の保険金殺人を持ち掛けられた保険外交員。2人は協力して、列車からの転落事故死を偽装する。しかし、同僚の敏腕調査員キーズが疑いを持つ。

物語は、銃で撃たれた保険外交員が告白する、回想形式で進む。実にスリリングな進行と、引き締まったタイトな演出で、最後まで存分に堪能させるところが凄い。

倒叙ミステリーであり、フィルム・ノワールの最高峰であり、不倫の末の保険金偽装殺人というのも、公開当時(1944年)の社会的な価値観に照らすと、非常に画期的で野心的だったし、それを全てこなし、見事なまでの傑作に仕上げている。

悪女を演じたバーバラ・スタンウィックの熱演が光るし、性格俳優で知られるエドワード・G・ロビンソンの好演も印象深い。極めてよく練られた、冷酷かつ痛烈なスリラーだし、後世に多大な影響を残している。これは間違いなく一級品だ。

瀬戸口仁