劇場公開日 1953年12月12日

「「深夜の告白」の進化形が「情婦」か?」深夜の告白 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「深夜の告白」の進化形が「情婦」か?

2021年2月18日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

たまたまNHKBS放映があったので、
大好きなビリー・ワイルダー物として
昨年に続いて鑑賞。

因みに私のワイルダー物の一押し作品は
「情婦」と「アパートの鍵貸します」です。

さて、何故この作品が面白いのかは、
様々な解説を読んで、
これまで散々流行った保険金殺人事件物の
元祖ストーリーだったためと理解出来た。

ただ、あえて言えば、
意外な展開を優先し過ぎたか、
フィリスがザケッティを具体的にどういった
役割のために、
どのように仲間に引き入れたか、
また、ローラを裏切っているザケッティを、
ネフは彼に何故温情をかけて
彼女に連絡させようとしたのか解らない等、
説明不足が多々ある。

また、あれだけの感の働くキーズが最後まで
ネフに疑いを持たないのは、
友情が邪魔をしてしまったとしても
不自然と言えば不自然だ。

むしろ、ネフが犯人と推理して、
自首を促そうとして
証人に会わせたりしていた、
との設定の方がラストの友情シーンが
更に生きて来ないだろうか。

ザケッティやローラのようなサブキャスト
を最終盤できっちり生かしてきて、
かつ描写上の不自然要素が無いのが「情婦」
で、「深夜…」からのワイルダーの進化を
感じさせる作品だと思う。
もちろんワイルダー特有のユーモア要素
についての進化は言うまでもない。

KENZO一級建築士事務所