「ブルース・リーへのオマージュがあるだけで評価が上がってしまう・・・」マルチュク青春通り kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ブルース・リーへのオマージュがあるだけで評価が上がってしまう・・・
70年代は日本もブルース・リーに憧れる若者が多かった。韓国だって軍事政権下ではあるものの同じ状況だったようだ。クラスの中には、必ず誰かがヌンチャクを持ってきて、ブルース・リーの真似をする。この映画でもそのブームが、大げさではあるが、しっかりと描かれていた。エロ本を同級生に売りつけるハンバーガー(パク・ヒョジュン)だってヌンチャクを使いこなすし、オレンジ色のジャージを着ると、クラスメートが集まって『死亡遊戯』ごっこを始めてしまうのだ。
ブルース・リー以外の海外の映画は人気があるようだ。登場するのは日本の映画雑誌「スクリーン」。表紙はオリビア・ハッセーだったりする(1977年9月号)。そして、PENTHOUSE誌やPLAYBOY誌は読みまわしすぎなのだろうか、全てボロボロだった。こうした雑誌を学校に持ってきている光景も日本と同じならば、持ち物検査があるところも同じ。しかし、根本的な相違点は、韓国の学校には軍人がいるということだ!この軍人や教師による体罰なんかは日常茶飯事。こんな学校へは行きたくないと、日本人ならば誰しもが思うでしょう・・・
ユ・ハ監督は、暴力がまかり通る学校生活に対して、真の「男らしさ」と「喪失」というテーマを反面教師的に描いていると言います。暴力に対する暴力では何も解決しないのだが、男が成長する過程において、避けて通れない世界。クラスのボス的存在であるウシクに裏切られたハンバーガー。ヒョンス(クォン・サンウ)が失恋したとき。青春時代の痛い経験を権力への追従や暴力で対抗することで昇華しようと間違った選択をしたことを反省しているのでしょう。もちろん、ランクによるクラス分けや体罰に対する批判もうかがえます。
韓国料理屋の女主人に迫られるシーンなどはやりすぎかもしれないけど、学校生活や純情だった恋心のエピソードは自分の若かりし頃を思い出し、ちょっと恥ずかしくなってしまったほどです。「フィーリング」なんてのも恥ずかしいぞ!結局、ウシク(イ・ジョンジン)とウンジュ(ハン・ガイン)はどうなったんだ?と、まるで自分が劇中の人物になったかのような錯覚に陥るような演出もよかったと思います。
【2005年9月映画館にて】
スクリーンの表紙、オリビア・ハッセーだったのですね。さすが、kossyさん、チェックがすごいですね! 見逃していて、再確認しました。(^^;) 布施明と付き合っていた頃でしょうか。古ぅ。