「【”明日が過ぎれば無事。”生き残りながら妄念に憑りつかれた男の”善人になりたい!”と言う悲痛な叫びが哀しい作品。シリーズ最終作にして現在、過去が入り混じった構成に翻弄されつつも魅入られる作品である。】」インファナル・アフェアIII 終極無間 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”明日が過ぎれば無事。”生き残りながら妄念に憑りつかれた男の”善人になりたい!”と言う悲痛な叫びが哀しい作品。シリーズ最終作にして現在、過去が入り混じった構成に翻弄されつつも魅入られる作品である。】
ー <警察に潜入したマフィア、ラウ(アンディ・ラウ)>と<マフィアに潜入した警察官ヤン(トニー・レオン)>を軸にした香港ノワールの最終章。-
■ウォン警視(アンソニー・ウォン)を殉職させ、サム(エリック・ツァン)に訣別の銃弾を見舞い、警察官として生きる道を選んだラウ。
自分の正体を見破ったヤンの死後、警察内に残る潜入マフィアたちを始末してきたラウは、エリート警官・ヨン(レオン・ライ)を潜入マフィアの1人と確信して追い詰めていくが、彼の精神状態は妄執にとらわれて徐々に壊れていく。
◆感想
・警察に潜入したマフィアのラウが、マフィアに潜入した警察官ヤンと自身を同一視していく過程が、哀しく描かれる作品である。
ー ヤンが生前良く口にしていた”明日が過ぎれば無事。”という言葉を、いつの間にかラウが口にしている・・。-
・ラウは保安部に来たヨンを潜入マフィアとして疑い、彼の身辺を調査するのであるが、それが徐々に、精神を病んだ彼の妄念である事が分かる劇の流れ。
ー 異様なまでに、ヨンを調査するラウの姿。彼の警察署内の個室に貼られた尋常でない写真・・。-
■亡き、ヤンが唯一安眠出来た精神科医リー(ケリー・チャン)の診察室の長いすでのみ、熟睡していた姿。
そして、2人は恋に落ちるが、時を越え妄念に捕らわれたラウがリーの部屋でヤンと共に目覚め、最後は一人で目覚めるシーン。
彼が、ヤンと自身を同一視していく過程が明らかになるシーンである。
■錯乱したラウがヨンの前で流したテープ。だが、そこに記録されていた音声。
そして、”善人になりたい”と叫びながら銃を乱射し、一発がヨンの額を貫く。それに被るヤンの死に様。
ラウは自身の精神が崩壊していた事を悟り、自身の顎を銃で撃つのである。
<ラストが、又、哀しい。
車椅子生活で脳に障害を負ったラウの生きた屍のような姿。そして表れる様々な妄念。
そして、ヤンの墓碑の横に建てられたヤンとラウと警察学校で同期だった、ヨンの墓碑。
”こんな輩が、無間地獄に落ちるのである。”というラストの言葉が哀し過ぎる作品である。>
今晩は。
ご観賞されたのですね。まさに無間地獄でしたよね。
釈迦に説法になりますが、八大地獄の最下層、上手く表現されていたと思います。
余談ではありますが、死に直面した一人は、穏やかな花畑で両親が微笑んでいる。もう一人は、体験したことのない寒さと深い闇に吸い込まれ、道連れが欲しく、看護師の首を絞めていた。あまりにも対照的で興味深く、不思議な話です。実話です
NOBUさんも三作、映画館でごらんになったんですね!嬉しいです。映画館で見て自分の頭の中が整理されました。本当にいい映画をあの頃香港は作ったんだなあ、と思いました。ウォン警部補役のアンソニー・ウォンが主役の映画が来年、かかるようなので楽しみです