「期待度◎鑑賞後の満足度◎ 演出も演技も前作に劣らず素晴らしい。欠点と思われた話の内容が、何故か鑑賞後に六道輪廻・因果応報の無常感の余韻をもたらす不思議な作品だ。(私が東洋人だからか)」インファナル・アフェアII 無間序曲 もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度◎鑑賞後の満足度◎ 演出も演技も前作に劣らず素晴らしい。欠点と思われた話の内容が、何故か鑑賞後に六道輪廻・因果応報の無常感の余韻をもたらす不思議な作品だ。(私が東洋人だからか)
①今回は『ゴッドファーザー』へのオマージュとおぼしきシーンが随所に見られる。
特に父クワンを殺され後釜となったハウが、父クワンに上納金を納めていたライバルのボスたちを皆殺しにするところは、『ゴッドファーザー』でアル・パチーノが父の殺害を図ったかも知れないライバルのボスたちを皆殺しにするところと全く同じ(ほぼパクり)。
また、ウォン警部が乗る筈だった車に仕掛けられた爆弾で代わりにルク警視が爆死するシーンも、『ゴッドファーザー』でシチリア島でアル・パチーノの代わりに新妻が車で爆死するシーンのオマージュだろう。
ハウの子供の誕生日に一家が集まってパーティーするところとか…
ただ、非情さはこちらが上(親族とはいえ堅気の一家皆殺しだもんな。)。
②死体を引きずって行く時の血溜まりや血の筋を見ていると魚市場で揚げられたマグロや大型の魚を引きずったり解体した時にできる血溜まりや血の跡と変わらないなぁ、と思っている自分にちょっとゾッとした。
③香港の中国返還をこういう形で映画が記録するとは。
④前作は「無間地獄」だったが、今回は「阿鼻地獄」。
善(警察)が悪(マフィア)に、悪(マフィア)が善(警察)に紛れた時の苦しさ(気が一時も抜けないよね、バレたら殺されるもの)・恐ろしさを、無間(或いは限)地獄に堕ちると地獄の苦しみが延々と続くことに例えていたのが前作なら、「阿鼻地獄」に堕ちたらどうなるかを若い二人が身に染みて解っていくのと、既に「阿鼻地獄」に堕ちているといえる周囲の人間模様を描いているのが本作。
⑤しかし、ウォン警部が当時のマフィアの大ボスであったクワンの殺害をクワンの格下の小ボスであるサムの女房(マリー)に頼み、マリーが若き日のラウに頼んで実行させ、ヤンが殺されたクワンの私生児であり、その事で警察学校を退学せざるを得なかったが持って生まれた正義感から(善人だからという設定)警察官になるため潜入捜査員となり、最初の仕事がクワンの後釜となった異母兄ハウを捕らえる為の潜入であり、一方上述のように父クワンの殺人に関与したかもしれない小ボスを粛清し(サムだけが生き残る)、殺人を教唆したウォン警視殺害の為に車に爆弾を仕掛けたが代わりにルク警視が爆死し、殺人教唆を受けたマリーが国外逃走直前に殺害(轢死)され(ラウがハウに垂れ込んだ為?)、香港へ戻ったサムが報復を図ったハウの裏をかいてタイのアフィアのボスにハワイへ避難したハウの家族を拘束させた挙げ句、ハウはウォン警視に射殺されハウの家族もタイのマフィアに皆殺しにされるという話にはちょっと作りすぎの印象を受ける。
(この話の流れの中で、果たして妻マリーにクワン殺害の教唆をしたのがウォン警視でありクワン殺害実行犯が自分が警察に送り込んだラウだったのかを知っていたのか、よくわからない。作中、タイを訪れたウォン警視とサムとの会話ではそういう感じはなかったけれども…―
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