「トイレ休憩は稲刈り前」七人の侍 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
トイレ休憩は稲刈り前
2025年映画館鑑賞105作品目
11月3日(月)イオンシネマ新利府
ハッパーマンデー1100円
新4Kリマスター版
モノクロ
1954年(昭和29年)初公開
監督と脚本は『酔いどれ天使』『野良犬』『羅生門』『生きる』『蜘蛛巣城』『隠し砦の三悪人』『用心棒』『椿三十郎』『天国と地獄』『赤ひげ』『影武者』『乱』の黒澤明
脚本は他に『羅生門』『生きる』『蜘蛛巣城』『隠し砦の三悪人』『八甲田山』の橋本忍と『隠し砦の三悪人』『椿三十郎』『天国と地獄』『赤ひげ』『乱』の小国英雄
粗筋
時代背景は戦国時代
天正14年(1586年)
貧しい農村では村人たちが野武士たちの略奪に苦しんでいた
村人たちはこれ以上我慢ができなり村の長老に相談
その結果村人の有志4名が町に出て村を野武士たちから守ってくれる侍を勧誘することに
報酬は白米の握り飯のみ
なんやかんやで七人の侍が集まり村人と共に野武士たちを迎え討つ
世界に最も影響を与えた邦画作品
日本映画代表
不朽の名作
3時間27分
映画館でトイレ休憩がある作品を鑑賞するのは今作が初めて
映画館以外のスクリーンとなるとソフト化(DVD化)される前に大谷翔平の地元奥州市水沢の公共施設で鑑賞した『黒部の太陽』が初めてだが
冒頭を除き七人の侍が守る村に野武士が攻めてくるまではコメディー路線
平八が戦死してからは緊迫したシリアス路線
最大の見せ場は土砂降りの中で決戦
もはや俺ごときが語るに及ばない
その前に平八と五郎兵衛が亡くなっている
七人中四人が亡くなっているがいずれも銃殺
村人も数名が矢で射抜かれるなどして亡くなっている
実質主人公は志村喬演じる島田勘兵衛
三船敏郎演じる菊千代はコメディーリリーフ
椿三十郎同様通称で本名ではない
左卜全が良い味を出している
村娘代表として志乃を演じた津村恵子
別嬪さん
侍から娘を守るため父に髪を切られ男装に
七人の侍の最年少勝四郎と結ばれる
やることやって小屋から出てきてなぜかおどおどしている勝四郎
遅れて出てきた志乃は処女喪失ながら「良かったわ」と言わんばかりに余韻に耽る色っぽさ
濡れ場で惜しみなくヌードを披露しなくても十分にそれと表現できる俳優の演技力と監督の演出力が見事
平和とはなんなのか
単に戦争がない状態なのか
いやそうではない
誇りを取り戻すため
本当の意味で「いきる」ため
我々の日々の生活を守るため
野武士が度々攻めてきて命乞いする他なくその代わりに食糧や女たちを奪われる無秩序な状態は平和ではない
なぜウクライナはロシアと戦い続けるのか
なぜイスラエルは建国以来平和が訪れないのか
ヒントはこの映画にもある
配役
七人の侍のリーダー格で冷静沈着温厚な性格で経験豊富な島田勘兵衛に志村喬
七人の侍の一人で百姓出身の荒くれ者で半人前の菊千代に三船敏郎
七人の侍の一人で裕福な武家出身だが末っ子のため家を出て旅の末に勘兵衛に出会い師事する半人前で最年少の岡本勝四郎に木村功
七人の侍の一人で勘兵衛の人柄に惚れて仲間入りし参謀的ポジションを担う片山五郎兵衛に稲葉義男
七人の侍の一人で元々勘兵衛の股肱で過去の戦で離れ離れになったが再会した七郎次に加東大介
七人の侍の一人で剣の腕は中の下だが冗談をよく言うムードメーカーで「◯6△1た」の軍旗を制作した林田平八に千秋実
七人の侍の一人で修行の旅の途中で勘兵衛に誘われ仲間に加わった凄腕の剣客の久蔵に宮口精二
離れの水車小屋に住む村の知恵袋的存在の長老(爺様)の儀作に高堂国典
村に住む若い百姓で女房を野武士に奪われたためか侍探しに最も積極的な利吉に土屋嘉男
村に住む壮年の百姓で利吉たちと共に浪人を探した茂助に小杉義男
戦うことには消極的だが儀作の提案で渋々利吉と共に浪人探しに行く壮年の村の百姓で志乃の父親の万造に藤原釜足
村に住むマヌケな中年の百姓で利吉と茂助と万造と共に侍探しに出かけた与平に左卜全
万造の娘で勝四郎を好きになる志乃に津島恵子
収穫物の代わりに野武士に強奪された利吉の女房に島崎雪子
柴刈りの最中に野武士を最初に目撃する村人の伍作に榊田敬二
儀作の息子に熊谷二良
息子の嫁に登山晴子
かつて野武士に家族を殺された経験を持つ久右衛門の婆様にキクさん
久右衛門の婆様の声に三好栄子
百姓に峰三平
百姓に松下正秀
百姓に池田兼雄
百姓に川越一平
百姓に鈴川二郎
百姓に夏木順平
百姓に神山恭一
百姓に鈴木治夫
百姓に天野五郎
百姓に吉頂寺晃
百姓に岩本弘司
百姓に山田彰
百姓に今井和雄
百姓に中西英介
百姓に伊原徳
百姓に大塚秀雄
百姓に大江秀
百姓に大西康雄
百姓に下田巡
百姓に河辺昌義
百姓に加藤茂雄
百姓に川又吉一
百姓に篠原正記
百姓に松本光男
百姓に海上日出男
百姓に田武謙三
百姓に山本廉
百姓女に本間文子
百姓女に小野松枝
百姓女に一万慈多鶴恵
百姓女に大城政子
百姓女に小沢経子
百姓女に須川操
百姓女に高原とり子
百姓の娘に上遠野路子
百姓の娘に中野俊子
百姓の娘に東静子
百姓の娘に森啓子
百姓の娘に河辺美智子
百姓の娘に戸川夕子
百姓の娘に北野八代子
百姓の娘に記平佳枝
町の人足Aに多々良純
町の人足Bに堺左千夫
町の人足Cに関猛
木賃宿で売れ残った饅頭を売りに来た饅頭売に渡辺篤
木賃宿の客の琵琶法師に上山草人
盗賊の人質になった子供を助けるためにか僧侶に扮する勘兵衛の剃髪を行い袈裟と数珠を貸す僧侶に千葉一郎
豪農家の子供を人質に小屋に立てこもる盗人に東野英治郎
勘兵衛に誘われるも村助けを断る強そうな浪人に山形勲
久蔵と果し合いをし竹刀で相打ちを主張するも否定され逆上し真剣勝負をするも惨殺される浪人に牧壮吉
村助けをお願いした利吉を蹴飛ばす長槍を持った浪人に清水元
平八に薪割りをさせていた茶屋の親爺に杉寛
木賃宿の客の一人で博打も剣術もからっきし弱い情けない浪人に林幹
豪農家の祖父に小川虎之助
豪農家の娘に千石規子
豪農家の亭主に安芸津広
豪農の前の百姓に堤康久
豪農の前の百姓に片桐常雄
豪農の前の百姓に岡豊
豪農の前の百姓女に馬野都留子
町を歩く浪人に仲代達矢
町を歩く浪人に宇津井健
町を歩く浪人に伊藤久哉
町を歩く浪人に加藤武
四十人の野武士集団を率いる頭目に高木新平
片目に眼帯をつけた副頭目に大友伸
村を偵察に来たが菊千代に捕獲され村に連れていかれる斥候Aに上田吉二郎
村を偵察に来たが待ち伏せしていた久蔵に斬られる斥候Bに谷晃
村を偵察に来たが待ち伏せしていた久蔵に斬られる斥候Cに中島春雄
鉄砲の野武士に高原駿雄
屋根の野武士に大久保正信
離脱する野武士に大村千吉
離脱する野武士に成田孝
野武士に西條悦郎
野武士に伊藤実
野武士に坂本晴哉
野武士に桜井巨郎
野武士に渋谷英男
野武士に鴨田清
野武士に広瀬正一
野武士に宇野晃司
野武士に橘正晃
野武士に坪野鎌之
野武士に中恭二
野武士に宮川珍男兒
野武士に砂川繁視
野武士に草間璋夫
野武士に天見竜太郎
野武士に三上淳
先ずは本編が始まる前の迫力のedmの如く鳴り響く中、独特のフォントで出演者&関係者のクレジットが圧巻のオープニングでしびれました。劇場のスクリーンしかも綺麗な4Kでの上映を観ることが出来たのは幸せです。
※菊千代の演者は黒澤明監督ではなく、三船敏郎なのでそれは訂正がよろしいかと思いました。

