劇場公開日 1954年4月26日

「人間の描き方の奥深さに感服しました」七人の侍 さとうきびさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 人間の描き方の奥深さに感服しました

2025年10月27日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

驚く

これだけの名作を実は未鑑賞でした。
劇場公開を機に、この長さを配信で観るのは辛いと思って鑑賞しました。
タイトルバックの筆書きの文字が斬新だなぁ~といきなり冒頭に感服したあと、所々役者さんの日本語が耳慣れなくて聞き取れない部分があるものの淡々と鑑賞。中盤あたりで名作だろうけれど古風な雰囲気は今の作品と比べるとどうなの?とベルイマンの処女の泉を観たときと同じような感想を抱き始めましたが…

ところが中盤以降、人物描写が深々と心に染みてきました。
村人も、武士たちも、大義名分だけではない自分可愛さと自己都合を内に秘めながらもこうありたい自分と葛藤している様が浮かび上がってくるからです。
誰一人として完璧な人は居ない。
けれどこう有りたいと願う姿を持つ人と持たぬ人の差は既に青年、壮年においても歴然たる差を人にもたらすことを今更ながら痛感しました。
群像の心情をここまで深く描きながら、一概に人間の醜さという感想を観客に抱かせない手腕が素晴らしいと感じました。
それもこれも含めて人間なんだよなぁ。
ラストの勘兵衛のセリフがひときわ心に染みました。
劇場で鑑賞できて良かったです。

さとうきび
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