劇場公開日 1954年4月26日

「映画館で観てよかった映画No.1」七人の侍 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 映画館で観てよかった映画No.1

2025年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

何度も観るうちに感想や気持ちが変化してゆく過程を記録してます。
よかったらご覧下さいませ。

1回目鑑賞が2016.10.19日でした。
この時は歴史的名作の迫力に圧倒されて感想を文字に残す余裕がありませんでした。

2回目にやっと世界が認める娯楽作品の楽しさ面白さを私の言葉で文字に残せるところまで来ました。以下は2回目の2018年7月9日 鑑賞時の感想です。
2度目だからこそ前回見落としていた部分を再確認しました。

この映画を「別に普通」と言う人もいるが、そりゃそうだ!
この映画があったから、その後の殆どの娯楽アクションものが
この映画をいわば真似してる訳で〜
「普通」を最初にを創り出したのがこの映画と言う事。

台詞が解らないと言う人もいる。そりゃそうだ!
そもそも50年前の映画なのだから50年も過ぎれば言葉も変わっちゃうし
日本語スキルが劣化した私らに合わせた台詞は一言も無い。
それなのに地球上で1億強しか話さない原語の映画が
世界で同時多発的に色んな国の映画人から賞賛されている訳で、
要するに少々セリフが解らなくとも
真面目に観れば、ちゃんと解るように作られてるんだよ!

名作名作と構えずに気楽に観たら良い!
面白い娯楽作品なんだから〜!

福田里香氏の「フード理論」の最高峰は「七人の侍」である!

と言う評論を耳にして、改めてこの作品を観ると
食べる事=生きる事の重さが胸に迫って来る。
作ってる自分たちでさえ一粒も口に出来ない一番大事な米を
差し出すしかない農民と、そんな農民の困窮を見兼ねて
出世にも俸禄にもならない仕事を引き受けた侍達の矜持と、
意義ある死に場所を求める気持が合致して話が進んで行く。

侍の話だけでなく、農民たちの困窮しながらも
実はしたたかに生き抜く狡猾さも描かれている。
死にかけの落ち武者を竹槍で追い回して奪った槍や兜〜
決戦前夜、いつのまにやら始まった酒盛りや若い性の暴走などは誰にも止められない〜
生きるとは、綺麗事では無く、時には人を欺いたり文字通り命がけなのだと、
観るものに伝わってくる。
実は農民の出である三角じるしの菊千代が目指すものは「本当の侍」になること。
だから勘兵衛に「本当の侍」の理想を見てついて来たのであり
久蔵の振る舞いを褒め称える勝四郎の「本当の侍」の言葉に触発されて、
逆に「本当の侍」にあるまじき行為を行なってしまう。
その反省が、最後は彼を「本当の侍」にしたのだと思う。

今回改めてやっぱ三船敏郎って凄いな〜〜
圧倒的な存在感と、大きな動き、豊かな表情!そして画面全体を照らし出す、
溢れる様な愛嬌!!彼の愛嬌があればこそこの映画が単に重い話で終らず、
メリハリのある活劇になってるんでしょうね。
こんな役者は今のハリウッドを含めてもちょっと居ない気がする。

そして3回目 2020年3月3日 リマスター版で格段に観やすくなった「七人の侍」
一人一人の魅力的な人物描写に魅了され観終わった後、涙が出ました〜〜
私もあの貧しい村の一人になって現在ならさしずめ「理想の上司No.1」の
志村喬演じる勘兵衛さんや稲葉義男演じる五郎兵衛さんに
もっと色々教えてもらいたかった!
三船敏郎演じる破天荒な菊千代や、スッとぼけていながら優しさの滲み出る
千秋実の平八さんや加東大介演じる戦慣れした七郎次さんと一緒にお酒が飲みたかった!
宮口精二が演じたクールな久蔵さんの見事な剣の腕前に木村功演じる若侍、
勝四郎と一緒にもっと魅了されたかった!
あの世界に行きたい!あの七人と会いたい!これが本当に惚れると言うことやね〜〜
しっかりキャラの立った七人の侍たちだからこそ現在でもこんなに心に響くのでしょうね〜

そして今回4回目 2025年10月22日 新4Kデジタルリマスター鑑賞時の感想です。
今回新たな発見として結構気になったのが、村娘「しの」と若侍勝四郎のエピソード。
勝四郎としのは偶然村の外れで出会って何度か二人で過ごすうちに、
しのの方から勝四郎に迫って来た。
奥手の勝四郎が戸惑ううちに密かに村を偵察する野武士達を発見し村は一気に臨戦体制に。
やがて野武士達と村人たちの最終決戦の前夜、明日は死ぬかもしれない!
そんな思いに駆られたしのは勝四郎に改めて自分を投げ出して迫ってくる。
遂に思いを遂げた二人はその直後、しのの父親に見つかって散々罵倒される、
怒り狂うしのの父親を「明日は決戦という前にはこんなことはよくあること」と
勘兵衛さんや七郎次さんが父親を宥めるのだが当のしのはただただ泣くばかり。

ここで脚本を練りに練った黒澤監督や橋本氏や小国氏はなぜしのには何も語らせなかったのか?しのは結構グイグイ勝四郎に迫って来ていたから、例えば
「明日野武士たちが勝てば娘らは野武士の慰み物にされる!それならいっそ、
自分の思う相手と結ばれてしまった方がマシだわ!」と女のしたたかさを表す台詞を
しのに言わせることを、巨匠三人は思いつかなったのか?だとしたらこれは
昭和親父の限界かもしれない。しかし、反対によく考えた上でしのの台詞省いたのか?
出来るなら時間を巻き戻して御三方に聞いてみたい気持ちですわ。

@もう一度観るなら?
「定期的に映画館で!(笑)」

星のナターシャnova
トミーさんのコメント
2025年10月23日

コメントありがとうございます。
古女房の、決戦前夜よくあるあるなんだよーと言う台詞、翌日のほぐしネタ、勝四郎と未来の舅には何の慰めにもなりませんね!

トミー
大吉さんのコメント
2025年10月21日

三船敏郎ってすごいですよね。
「影武者」や「乱」も三船さんだったらもっともっと面白い作品になってたと思います。

大吉
トミーさんのコメント
2025年10月21日

古女房は子泣き爺みたいなちゃんちゃんこと誤変換されてましたが、ミニスカ・ボディコン並の着物でした。繕い物をしたり、すすぎを持ってきたりちょっと笑えました。

トミー
masaさんのコメント
2024年1月8日

長い長い文章に貴方の「七人の侍」愛が溢れていますね(笑)
仰る通り。古いからモノクロだから長いからと、斜に構えてこの映画を見逃してしまうのはあまりに勿体ない。あの時代に、唯一無二のスタッフとキャストだからこそ生まれた奇跡の映画ですからね。

masa
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