「道で札束の詰まったカバンを見つけた、君はどうするかね?」シザーハンズ shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
道で札束の詰まったカバンを見つけた、君はどうするかね?
映画「シザー・ハンズ」(ティム・バートン 監督)から。
この映画って、こんなに切ないストーリーだったんだ、と
鑑賞後、涙腺が緩み、しばらく胸がジーンとするのを感じた。
楽しいとか、幸せいっぱいの気持ちは、人に伝えられるけれど、
切ない気持ちは、なかなか上手に伝えられないなぁ、と思う。
自分自身で、今回の気持ちを思い出すために、ハサミの手をもった
人造人間「エドワード」に、ケジメを教えるシーンを選んだ。
質問はいたって簡単、人間社会でのルールを試す設問。
「道で札束の詰まったカバンを見つけた、君はどうするかね?」
答えは一つ、次の(A)〜(D)の中から選ぶ。
(A) 君が頂く
(B) 友達や愛する者にプレゼントを買う
(C) 貧乏な人にあげる
(D) 警察に届ける
エドワードは「愛する者に、プレゼントを」と答え、間違いとされる。
もちろん、善悪だけを考えたら「(D) 警察に届ける」が正解だけど、
「友達や愛する者にプレゼントを買う」「貧乏な人にあげる」を
選んだからといって、あなたの生き方は間違っていると断定するのは、
私が望む生き方と、ちょっと違う。
この「愛する人のためなら」という考えが、物語全体を包み込み、
エドワードを演じる「ジョニー・デップ」の 台詞が少ない分、
観ている私が、じっくり考えさせられるシーンが多かった気がする。
人間の心は移ろいやすく、味方になったり敵になったり、慌ただしい。
彼の傍にチョコンと座る犬が、一番の理解者なのかもしれない。
P.S.
「君のことが心配だ。十分に注意して暮らせよ」という助言や、
エドワードに「逃げ道」を与え、追っかけてくる町の人たちに、
「もう終わった、皆、帰ってくれ」と言い切った警官、
カッコよかったなぁ。