「全体に漂う憂鬱な薄暗い雰囲気」フロム・ヘル Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
全体に漂う憂鬱な薄暗い雰囲気
クリックして本文を読む
総合:70点
ストーリー: 65
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 80
音楽: 65
薄暗い雰囲気が残虐な行為とその裏にある醜聞を包み込み怪しい雰囲気を醸し出す。支配する権力者たちが自分たちの名誉や利益を守るために行動するとき下層社会を軽視した考えを持っているのがいかにも当時の階層社会らしく、服装や映画のセットと相まってよくこの時代を再現出来ていたように感じる。実際にこのような醜聞とそれをもみ消そうとする権力者による不条理な犠牲の物語は、世界の歴史の闇に数え切れないくらい埋もれているに違いない。
特殊能力を持つとはいえ所詮は一人の警察官に過ぎないジョニー・デップが、最後に自分の大切な人を守るためにとる選択は彼の持つ力の範囲で精一杯のことだろう。硬貨を二枚握ったままなのが覚悟の行動であったことを暗示する。無力さや無常さを感じさせるが、その悲哀がこの映画の結末にはふさわしいのかもしれない。
配役ではゴッドレイ巡査部長役のロビー・コルトレーンがいい味だしてました。
でも殺人とその裏にある複雑な背景がある犯罪物なのに、ジョニー・デップが持つ超能力みたいなのは必要だっただろうか。映画も本格的なセットなのにいきなりファンタジー系の話になっている部分があり、少し物語と合っていないように思う。
コメントする