「くだらなく、だが美しい」ドミノ(2005) 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
くだらなく、だが美しい
ミッキー・ロークの
アイアム猛者な感じがたまんない。
エドガー・ラミレスの
恋するサイコな表情もいい。
ウォーケン&ビセットのトボけたところも好きだ。
そしてキーラ・ナイトレイ。
「猛獣の群れに投げ込まれた子ウサギ」といった風情がいい。
この子ウサギ、賢く強くカッコイイが、弱肉強食の世界では利用されて喰われる身。
それでも自分の居場所を探し続ける所が切ない。
(実在のドミノ・ハーヴェイは映画公開間際に変死している。それを知って観ているから余計に切ないのかもしれない。)
トニー・スコットの
派手でいながら繊細な映像がイイ。
くだらなく、だが美しい。
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2016年2月追記
上記のレビューは、『悪の法則』(リドリー・スコット監督)を劇場で観た日に書いた。
劇場から帰る途中で、レンタル屋さんで『ドミノ』を借りて何年かぶりに見直した。『悪の法則』と何だか似ており懐かしくなったので(『悪の法則』の中にミッキー・ロークがどうのというセリフもあったし)。
ちなみに『ノーカントリー』(コーエン監督)の原作とも話の構造が似ている(その本とドミノは発表時期が近いので、どっちかが真似たという訳ではなく偶然なんだろうが)。
『悪の法則』『ノーカントリー』の原作者コーマック・マッカーシーの語り口に一番近いのは、リドリーでもコーエンでもなく、トニー・スコットだと思う。
トニーは、リドリーが出来なかったことを、偶然にも先取りして達成してた気もする。
もっともっとトニー・スコットの映画が観たかったなあ。でも一番そう思ってるのは、兄のリドリー・スコットなのかもしれんね。リドリーの生き抜くための映画『オデッセイ』を最近観て、あらためてそう思った。