「虚構の世界に生きる人々を、ビリー・ワイルダーが見事な脚本と演出で…」サンセット大通り KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
虚構の世界に生きる人々を、ビリー・ワイルダーが見事な脚本と演出で…
キネマ旬報ベストテンでは「イヴの総て」
「わが谷は緑なりき」「オルフェ」と競って、
第2位に選出された、冒頭と結末の衝撃的な
ビリー・ワイルダー監督作品。
1951年日本公開で、私的には、
丁度40年前に劇場鑑賞していたが、
死者のモノローグによる映画なんて
他にあっただろうか、と思う
ハリウッドの光と影を背景とした悲劇を
描いていた。
既に狂気の世界にいるサイレント映画の
かつての大女優はもとより、
脚本家と脚本部の娘との
新年前夜のパーティでの遣り取りでも、
ハリウッドに生きる人々は
如何に虚構の世界に生きているのかを、
さも自虐的に描く中、
そもそもが、往年の名女優を育てたのが
実は現在の執事であり、
彼はかつては名監督で最初の夫だった
ということ自体が型破りの設定なのだが、
そんな内容を違和感なく見事に
まとめ上げる脚本と演出に私は魅了され、
「アパートの鍵貸します」と「情婦」の
特に大好きなワイルダー監督ではあるが、
この作品でも、
彼の力量を改めて再認識することになった。
それにしても、バスター・キートンが
カメオ出演していたことには
気付いたものの、
セシル・B・デミルについては
誰かが演じているものと思って観ていた。
しかし、
終わった後に本人だったことを知り、
おまけの驚き付きの再鑑賞ともなった。
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