「【”スター女優は年を取らないモノよ!そして映画こそ我が人生。”哀しきサイレント映画時代の大女優が夢にまで見たハリウッドへの復帰を望む過程を売れない脚本家との絡みを軸にシニカルに描いた作品。】」サンセット大通り NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”スター女優は年を取らないモノよ!そして映画こそ我が人生。”哀しきサイレント映画時代の大女優が夢にまで見たハリウッドへの復帰を望む過程を売れない脚本家との絡みを軸にシニカルに描いた作品。】
■ハリウッドの売れない脚本家ジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)はある日、借金取りに追われて逃げ込んだ屋敷で、隠居生活を送る往年の大女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン)と出会う。
彼女から脚本の執筆を依頼されたジョーは、住み込みで働き始めるが、やがて生活の全てを束縛されてゆく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作を観て思ったのは、邦画が誇る大女優、原節子さんの生き方である。石井好子さんによる「原節子の真実」によると、彼女は自分の女優としてのピークを知った時点で潔く映画界を去ったとされている。
その後は、表舞台に一切出る事は無く、生涯を終えたと記されている。
この本は、時折目を通すのであるが、哀しい想いと女優として一世を風靡した方の見事なる生き様を描いた作品だと思っている。
・今作では、トーキー時代の大女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンソン:実際に大女優だったそうである。)が、昔日の栄光を忘れられずに大邸宅に自らの若き日の写真を飾る姿や、ジョー・ギリスを抱き込み、再び銀幕のスターになるべく加齢に対し涙ぐましい努力をする姿が描かれている。
ー だが、彼女は徐々に過去の栄光と、現実との違いが分からなくなっていく姿が哀しい。-
■驚いたのは、後半明らかになる慇懃なまでにノーマ・デズモンドに仕えるマックスが、且つては彼女の夫であり、且つ映画監督だった事が判るシーンである。
<今作を観ると、多くの映画女優さんの加齢により美貌が失われて行く中、その立場を保とうとする姿を考えると、複雑な気持ちになってしまう。
私は、ゴシップ記事には全く興味が無いが、有名女優さんの加齢により容色が衰える様を面白おかしく書く記者には”お前は、年を取らないのか!”と思う時が偶にある。
少し、脱線したが今作はその様な視点で名女優だった女性の哀しき人生を描いた作品であると思う。
ラスト、ジョー・ギリスを撃ち殺したノーマ・デズモンドが、全てを忘れ螺旋階段を多くのフラッシュに映されながら、至福の表情で降りて来るシーンは名シーンだと思います。>