「素晴らしかった」シティ・オブ・ゴッド 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしかった
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ブラジルのスラムの行き止まり感が凄まじい。昔見た時は、リトル・ゼの顔が怖くてこんないじめっ子がいたら怖すぎると思ったものだけど、今見ると自分が老いたせいかあんまり怖くない。実際いたら怖いだろうけど、昔ほどではなくて自分の中で怖くしすぎていたせいかもしれない。
それから主人公の童貞っぷりはいいのだけど、負の側面がまったくなくて、あの悲惨な状況でよく善人でいられたものだと、いくらか悪事は働くものの仕方がないと言える範囲で全然悪くない。そんなところがちょっと不満、不出来な人間の方が見たい。
しかしそんなことは些末な問題で描かれているバイオレンスが凄まじくて、弾が当たって死ぬとはこういうことだと見せつける。先日見た『バレリーナ』とか、比べるのも無粋であるが何の緊張感もなくて見ていて眠くなるのと大違いだ。あんな戦場で暮らしてよくみんな生きていたものだ。死ぬ人もいるけどそれでもパン屋や飲み屋を経営したり、正気を疑う。
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