「時の重みについて考えさせられる」キャスト・アウェイ Momoさんの映画レビュー(感想・評価)
時の重みについて考えさせられる
トムハンクス演じるチャックは仕事人間。配送会社FedExを経営しており、時間に対してとても厳しく荷物を時間通り運ぶことに全力を尽くしている。その姿勢は『時に背を向けたり、時の観念を忘れることは大罪だ』『我々は時に縛られて生きている』という台詞からも見受けられる。
そんなチャックが配送中の飛行機事故で無人島に漂流してしまう。チャックと共に流れ着いた配送物に、初めは手をつけないのが彼の仕事に対する誠実さを表しているように思う。時が経ち、開封した流れ着いた漂着物は一見役立たないものにみえるが、結果的にすべて役立っていく。
潮の流れが何かを運んでくるように、人生は息をし続けていれば色々な出会いが運ばれてくる。それは一見何の役にも立たないかもしれないが、自分のやり方、振る舞い方次第で良くも悪くも活かせるのだろう。
チャックが無人島生活で一度は命を絶つために使ったロープで筏を作り脱出をしたように。
脱出をしたチャックだが、やっとの思いで再会した婚約者はすでに他の男と結婚していた。すぐに戻ると言い事故にあったチャックの死を受け入れ、前に進んでいたのだ。この部分は、チャックが大切にしていた仕事の姿勢、我々は時に縛られて生きているという言葉を思い出させられる。
4年という無人島生活をおえてもなお、ケリーが待っていてくれると信じるのは、チャック自身が時に背を向けているのではないか。
チャックの死を受け入れ、前に進んだケリーの方が時と向き合っているように思う。
映画を通してタイトルのcast away、捨てられたものはチャックではないかと感じた。
エンディングは賛否あると思うが、冒頭に繋がる画や、人生の選択肢を感じさせる点では良かったと私は思う。