劇場公開日 2023年7月28日

  • 予告編を見る

「後半をどう観るかで評価が分かれそうな「京劇」の世界」さらば、わが愛 覇王別姫 minavoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 後半をどう観るかで評価が分かれそうな「京劇」の世界

2025年10月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

「国宝」、みなさんご覧になって評判いいですね。歌舞伎の魅力に改めて気付かされましたよね。で、観たことなかったけど「京劇」の世界はどんなんかなと思って観てきました。

「京劇」の世界も「歌舞伎」以上に無知でしたが、原題の「覇王別姫」は、ことわざとして有名な「四面楚歌」の悲恋物なんですねー。これはわかりやすかった。

捨て子同然で集められた男の子たちが、人権無視の幼児虐待で京劇を叩き込まれ、主人公は顔がかわいらしいので女形として育成され、権力者の同性愛の相手として性暴力の対象になります。さすが、「京劇」、「国宝」でみた「歌舞伎」の世界とはエグさが違いますねー。

「国宝」と似たシーン(こちらは30年前の作品ですが)もありました。「国宝」でも好きなシーンで子ども時代にホンモノの「歌舞伎」に触れて覚醒するシーン。田中泯さんの登場シーンですね。

こちらでは厳しい劇団から、主人公が食いしん坊の友達と逃げて偶然ホンモノの「京劇」を観て感動して、罰を受けるのを覚悟で劇団に戻るシーン。決意して罰を受ける主人公の姿と、自殺してしまう食いしん坊の対比で描かれます。

主人公の大人時代を演じるレスリーチャンが出てきてから、子役時代から兄と慕って行動を共にした石頭(子ども時代の名前)に彼女ができ、レスリーチャンが京劇に没頭するあまり、マインドもゲイになってしまい苦しむあたりは引き込まれました。まあ、そうなるよねと。

ただ、この3人を軸に日中戦争、国民政府、共産党による京劇弾圧までの激動の中国現代史を絡めたくだりから、お話が駆け足になり、短いカット、ブラックフェード(話が変わることを意図したもの)を繰り返し、ちょっとついてくのがやっとって感じに。後半の濡れ場とか、なんでココ?って笑ってしまいましたもん。裁判のシーンくらいで描きたいことは終わってる感じがしたりしなかったり。

後半でレスリーチャンが「この女が出てきてからおかしくなった!」と言うセリフがありましたが、映画を観てるボクのココロの声かと思いましたね。

minavo
PR U-NEXTで本編を観る