「美しい映画はいつまでも輝く」さらば、わが愛 覇王別姫 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい映画はいつまでも輝く
本当に観て良かった。マイベストムービーに入る大傑作だ!と、堂々と言えます。
きっかけは「国宝」のレビューで多くの方々がこの作品と比較して論じられていたからである。これは、何としても観なければと思っていたらキネ旬シアターで上映してくれると言うので勇んで行ってきた。3時間の長さは一切感じることなくスクリーンに釘付けとなった。
一言で表現するとしたら、正に予告編の「壮大なスケールと映像美で描く一大叙情詩」がぴったりはまる。中国伝統の「京劇」の世界で過酷な修行期から北京のスターに駆け上がる様を激動の歴史を背景に描きながら、程蝶衣、段小樓、菊仙3人の切ない愛憎劇が儚くも美しく紡がれる。
奇しくも今年は戦後80年。日本の戦時下も大変な時代であったが、この映画で描かれた時代の中国は抗日戦争、日本支配、国民党の台頭、共産党の支配、文化大革命と、戦争や内乱が繰り返された。とりわけ映画の終盤、文化大革命の際、北京の青少年によって組織された紅衛兵により「京劇」もターゲットになり程蝶衣も段小樓も衆人の中で激しい恫喝に晒され虚実と本音が入り混ざった懺悔をさせられる様はあまりにも悲しかった。菊仙の運命も辛すぎる。文化大革命では各地で文化財破壊や大量の殺戮が行われその犠牲者の数は数百万人とも言われている。
ラストシーンで程蝶衣、段小樓は幼い小豆子と小石頭の頃に一瞬気持ちが戻ったことであろう。そして、あまりにも美しいレスリー・チャンはもうこの世にいない。だが、美しい映画はいつまでも輝いてくれる、。
naokiさん、メッセージありがとうございます。不幸にして人気絶頂時に亡くなられる方はいらっしゃいます。俳優や監督は映画の中で、音楽家はその楽曲がいつまでも生き続けていきますよね、。
私も「国宝」でこの映画の存在を知りました。レスリー・チャンさんが亡くなったときの事は今でも憶えています。亡くなる前にラジオでインタビューに答えておられ本当にピュアな俳優さんだなぁと感心してたら、その後に悲報が届きショックでした。

