劇場公開日 2023年7月28日

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「やっぱ、凄い。映画館で見れて良かった」さらば、わが愛 覇王別姫 93q2q2さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0やっぱ、凄い。映画館で見れて良かった

2023年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

映画の中で一番好きというより、最もインパクトが有り印象に残っている作品がこの映画だと思います。自分の映画の指標、基準になっているのかもしれません。
一つの映画の形として「映画ってこういうものだよね。」って思います。
張り詰めた画、上手い役者、音楽、脚本、構図、演出。それらが自然と映画への集中を強いります。どこからともなく湧き上がる緊張感が半端ないです。
この作品を見て思うことは「緊張感は人の目を釘付けにする」です。
3時間弱という時間を余り感じません。完成度が凄く高い作品だと思います。そして今回鑑賞して構図の妙、演出の巧みさを再認識しました。
今だに分からないことだらけですが、今よりもっと気づきの少なかった昔の自分も、こういう洗練された巧さを何となく感じていたからこそ、とてもこの作品に惹かれ、今でも印象に残っているのではと思いました。
そういうもの上に、矛盾や愛憎に振り回される弱い存在である人が、理不尽で不条理な世界に抗えず流されながらも生きて行きていく、辛さ、切なさ、悲しさをとても印象深く丁寧に描くチェン・カイコーはやっぱり凄い監督だと思いました。

この映画は今向きではない作品だと思います。なんせ不親切。時代背景などある程度の知識を持っていないと、何でこうなっているのかが分からないです。それをほとんど説明せずにどんどん進んで行きます。ですが映画自体の持つ力が、とてつもなく強いので、分からないながらも、どんどん映画に引き込んでいってくれます。
昔、知人にこの映画をオススメをしたら「よくこんな映画観るな~。これ勧めるって、やばいちゃうんかと思った」って言われたのを思い出します。そんな決して万人受けする映画ではない映画です。ですが、とても良い素晴らしい作品だと思います。本当に。
あと、池江璃花子を初めてテレビで見た時に「この人、何か見たことがある」と思ったのは、少年期の小豆に似てるからやったのか~と思いました。
レスリー・チャンが存命ならどんな役者になっていただろうと思うと切なくなります。

93q2q2