「観る人を選ぶ映画」さらば、わが愛 覇王別姫 ねりまっくまさんの映画レビュー(感想・評価)
観る人を選ぶ映画
京劇「覇王別姫」を演じる2人の愛憎と人生を、1925年から1970年代末までの中国の動乱の歴史とともに描いた作品です。
タイトルにインパクトがあるので、昔から作品の存在は知っていたものの今に至るまで未鑑賞でした。主役を務めたレスリー・チャンの没後20年を記念して4Kレストア版が上映されていることを知り、鑑賞してきました。映画.comのレビューでは4.4という驚異の高スコアですので期待は高まります。コメントを全て読んだらネタバレに遭遇するかも、という微妙な心理が働き、ほとんど予習することなく鑑賞しました。
決してつまらない映画ではないのです。しかし、前提となるいくつかのこと、特に中国の歴史を学んでから鑑賞すると、また別の感想を持ったかもしれないなと感じました。この作品を、程蝶衣(小豆子)と段小楼(石頭)の愛憎、菊仙を交えた愛憎劇と捉えると、この映画の半分も味わえていないのではないだろうと思うのです。日本による占領、中華人民共和国の建国、文化大革命、これらの後ろにある思想・価値観の変遷をある程度理解してから観ると、それぞれのシーン・セリフが持つ意味合いをより深く理解できて、もっと感銘を受けることができたかもしれません。そんなこと知らなくても、レスリー・チャンの美しさがあるから十分という意見もあるでしょう。しかし、私の周りでは眠っている人もチラホラいました。
要は、観る人を選ぶ映画だな、と思うわけです。
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