「世が世なら」さらば、わが愛 覇王別姫 くーにー62さんの映画レビュー(感想・評価)
世が世なら
世評が定まった見逃し作品の一つ。ようやく機会を得て劇場で鑑賞。2K上映だったらしいけど気にならず。
芸道に児童福祉は適用されない。カンフー映画にもよく似た少年たちの壮絶修行シーンが登場するけど、そこは良識あるチェン・カイコー、ズームは一切使わず、ドリーとステディカムで古い伽藍の中のアクションを捉えていた。
京劇という伝統芸能の価値観が時代とともに乱高下する。役者たちの日本軍、国民党軍、人民解放軍それぞれへの見方も興味深い。革命を支えるのはいつだって若い世代。彼らには伝統など無価値だし、唾棄すべきもの。造反有利って、いやはや、言うたもん勝ちやなー。
日本でも50年代に共産主義革命が成立していたら、能や歌舞伎も自己批判の矢面に立たされていたのだろうか。世が世なら、と思わずにいられないのは、政治システムの狭間で憂き目に遭っている人々が大勢いるためだ。台湾にも香港にも、朝鮮にもロシアにも。
しかしオープニングとエンディングの演出には疑問が残る。予算が尽きたか?
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