「美しい映画」さらば、わが愛 覇王別姫 きいさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい映画
久しぶりに鑑賞しました。
中国の激動の時代を生きた京劇役者の話です。幼少期〜壮年期?までを描いた3時間ほどの映画ですが、まったく長さを感じさせません。
静かなシーンが多いですが、その映像や役者の細かい表情が台詞だけではない感情、退廃美を感じさせます。京劇のシーンでは一変、あの独特の音楽が大音量で流れ、それもまたいい‼︎
華やかな京劇の世界と、現実のギャップを思い知らされます。
蝶衣の小楼、演じる京劇への執着と愛、京劇のなかでしか生きていけない姿、決していい方向へ向くことはない人生を生きる姿は、美しく魅力的です。
話の途中まで、あまりいい印象のない菊仙でしたが、恋敵である蝶衣が阿片におぼれた際の献身的な姿、弟子に自分の役を取られてしまった蝶衣を思いやるような表情…言葉ではいい表せられない関係ですね。同じ人を愛した者同士憎しみもあるのですが、だからこそ、蝶衣をよく見て弱さを分かっているのは菊仙なのかなと思います。
今年6月頃に日本での上映権が終了したようで、映画館で観ることができず残念ですが、これからも観たいと思う映画です。
<追記>
4K上映されていたため映画館で鑑賞。
待ってました、映画館上映‼︎
自宅のテレビで観るより作品に没入できたことと、自分自身、中国近代史について少し知識がつき、以前観た時よりも時代背景を理解できたので、新鮮な気持ちで鑑賞しました。
映像が鮮明になったことで、これまで気づけていなかった演出があっことがショックでした。
大人になった蝶衣の化粧前に、子供の頃、指を隠すために使っていた手袋?が置いてあること等…
それに気づいた後に阿片を抜こうともがく蝶衣が母親を恋しがる姿を見ると、つらかったです。
そして、レスリーチャン美しすぎる。
普遍的ですね。
あのなで肩で衣装を着るとより女性的な体型に見えます。
この美しさは女性では出せませんね。
大きなスクリーンで拝むことができて、幸せでした。