「自分の居場所」ブロークバック・マウンテン いずるさんの映画レビュー(感想・評価)
自分の居場所
イニスは居場所が欲しかった。
それは、多感な頃に貧乏に放り出されたからかもしれないし、
反発して自立心を養うだろう頃に両親を失ったからかもしれない。
傍目からも、自分でも、納得できる『幸福な典型的家庭』こそがイニスが作りたかったものです。
二人で暮らすというジャックの望みが叶ったとしても、イニスが心の底から求めるようなものではないし、
他人に害されるのではという不安にも悩まされる。
だからこそ劇中ではイニスは家庭を手放さなかった。
たった一年にも満たない、ひと夏の時間が酷く幸せだったため、その後の人生は思い出に費やされてしまう。
もう戻ることの出来ない楽園を思い続ける。
思いが通い合っていないわけではなく、現実が絡まり、ついに堪えられなくなっても身動きがとれない。
苦しいし、悲しい。
偏見を持たずに、一度は見るべきです。
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