「最高で最愛の親友との20年の軌跡」ブロークバック・マウンテン といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
最高で最愛の親友との20年の軌跡
評価が高い作品と言うことで鑑賞。名前は聞いたことあるんですけど、全く事前知識はありませんでした。タイトルもただの山の名前だから、内容は全く想像つきませんね。
結論ですが、めちゃくちゃ面白かった!!
同性愛描写が出てきたのは面食らいましたが、そこが本作の肝でもあり、ラストに繋がる感動を生みますね。たまたまブロークバック・マウンテンで出会った二人の男が、最愛の親友として長い時を過ごす描写がとにかく美しくて、でも彼らを取り巻く社会情勢や家族環境はとても窮屈で…。
同性愛を描いた映画ではありますが、どちらかと言えば男同士の切れない友情を描いた作品のようにも思えます。本当に奥深い映画でした。素晴らしかった。
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ワイオミング州のブロークバック・マウンテンで、羊の放牧をするために季節限定で雇われたイニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)。厳しい冬山で生活していくうちに、二人の間には密かな愛が芽生え始めた。放牧の仕事が終わってからお互い結婚して家庭を持つが、その後も年に数回会って愛を育んでいた。
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公開当初、本作は「ゲイ・カウボーイ・ムービー」と揶揄されていたらしいですが、次第に内容が高く評価されるようになり、アメリカ国内外で記録的な興行収入を叩き出し、様々な世界的な賞も受賞しました。それだけ、作品としてのクオリティは素晴らしいものです。
本作の魅力は語りつくせませんが、ストーリーや撮影や役者陣の演技などなど、どこをとっても素晴らしいです。
ストーリーは二人の男の愛を20年という長いスパンで描くことと、20年の間に彼らを取り巻く環境が変わってしまったことですれ違いが生じていく様子を描いており、これが本当に素晴らしいですね。同性愛描写はありますが、これは異性間でも起こりえますし、恋愛関係でなくて友人関係でも似たようなことは起こりえます。そういう人間関係での普遍的な部分に落とし込んで鑑賞することもできるようになっていると私は感じました。
映像に関しては、とにかく序盤のブロークバック・マウンテンの自然描写が素晴らしい。実際の撮影はカナディアン・ロッキーで行われたらしいですが、あまりの自然の美しさと荘厳さに息を飲みます。遥か彼方までそびえる山々の映像を観ていると、自分の距離感が狂っていくのを感じます。アメリカのスケールのデカさを目の当たりにしました。
そして、映画好きとして語っておきたいのは役者の凄さですね。
本作のイニスを演じたヒース・レジャーは、後にアメリカでタイタニックに次ぐ全米2位の興行収入を叩き出すこととなるクリストファー・ノーラン監督の大傑作『ダークナイト』でジョーカーを演じた俳優です。『ダークナイト』の公開を待たずして薬物中毒により28歳の若さでこの世を去った彼が世界的に名が知れ渡るきっかけになった作品が、この『ブロークバック・マウンテン』なのです。
本作の撮影当時は20代前半であった彼が、わずかなメイクと表情筋の使い方と話し方だけで、20代から40代までのイニスを演じきった凄さは実際映画を鑑賞した方には伝わったと思います。ここまで素晴らしい役者さんが28歳という若さで亡くなってしまったのは本当に残念でなりません。『ダークナイト』のレビューでも同じことを書いていますが、できることなら彼の演技をもっと見ていたかったです。
相方であるジャックを演じたジェイク・ギレンホールも、数々の世界的な映画賞を受賞しており、現在進行形で第一線でバリバリ活躍している俳優さんです。ヒース・レジャーの演技に全く引けを取らない彼の演技も本当に見事で、ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの二人が主演を務めたからこそ本作がここまでの大傑作になったと言っても過言ではないでしょう。
多くの人に観てほしい、本当に素晴らしい映画でした。オススメです!!