「凄いのは意外と周りが優しい」ブロークバック・マウンテン 字幕 アンゼたかしさんの映画レビュー(感想・評価)
凄いのは意外と周りが優しい
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ということ。農牧場の管理人も、イニスとジャックの妻もジャックの両親も、2人がデキているという事実を承知しているのに自分の胸に留めているだけ。ということ。アルマは自分の夫がゲイだなんて知られるのが屈辱的であるというのもあるだろうけど…
60年代のNYなら未だしも片田舎のワイオミング、メキシコだなんて、ゲイだと知れ渡ったら誰に刺されるかわからないだろう。結果的にジャックはテキサスで出会った相手との関係を周囲に知られ、嬲り殺されるという点で明暗がはっきりと分かれている。
ジャックの父親も遺灰はあくまでも家の墓に埋めると言い切っているが、しっかり殺された経緯を諭しているのも感慨深い。ジャックの母親が何も言わずシャツを紙袋に入れ「顔を見せてね」とイニスに声を掛ける優しさたるや。涙が出る。
娘ジュニアもきっと母親から事情を聞いたか、何と無く2人の態度から気付いたのではないだろうか。
現に、もう1人の娘は会うことを拒絶しているわけだし。イニスに娘ジュニアがいて本当に良かった。彼女がいなければ自殺していたのではないだろうかとも思えた。
60年代のあり得ないと、存在していることすら許されていない人達もしっかりとした人間であり。そんな人達に冷酷な人もいれば、人間として対等に渡り合える人もいるのだと諭してくれた作品でもあります。
イニスのシャツがジャックのシャツを包み込んでいる不器用なイニスの優しさと込み上げる切なさ…
彼等の築いた絆はブロークバックに確かにあるんだ。
ラストは顔がぐしゃぐしゃになるまで泣いてしまう切なくて悲しい。こんな純粋なラブストーリーを只のゲイ映画だと叩く人にならなくて本当によかった。
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