「タイトルなし(ネタバレ)」ボーン・スプレマシー ばひんぽさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
今回は前作でイマイチだった部分を十二分に完璧な形で応えてくれた素晴らしい作品である。
ドレット・ストーン作戦の切り上げによって、CIAから逃れつつ2年間世界を転々とマリーと暮らしていたボーン。ところが彼の仕業に見せかけた殺人が起こり、命を狙われ彼女を失う。
前回以上にキレのいいアクションで魅せつつ、記憶喪失にかけたサスペンスもうまくいかし、前回以上にスリリングな追って追われての構図が展開する。
今回ボーンを追うCIA側は新たに指揮をとるパメラ。彼女が部下を失った殺人事件を調べていくうちに、ドレットストーンという謎にぶちあたる。そしてボーンを追い詰めていくわけだが、的確に部下へ指示する描写などで常に彼女の陣頭指揮の敏腕っぷりが発揮されている。それに対して、今回も冷静に頭の切れるボーンの行動も前回以上だ。何かに気付き即座に事態を理解、とるべき行動への機転がきく場面がいくつもある。そうしたプロフェッショナル同士のチェイスの中で、両者は真実を求める者として同じ側に立っている。この時に、黒幕のアボットがパメラの顔をおそるおそる覗いている点、前作で関わったニッキーが、ボーンを知り、かつ客観的に評価する立場として出てくるのも良い。
ニッキーとの接触・終盤の電車に乗り込むシークエンスのぎりぎり感も素晴らしい。追手とのラストバトルも最後まで呼吸を忘れる。後ろからいきなり撃たれて始まる容赦のない戦い、カーチェイスでボーンもギリギリまで追いつめられる。そしてマリーの最後の言葉で形見の、ボーンが殺し屋という過去にどう立ち向かえるのかという問題。愛するものを失ったからこそ、自身の過ちにきちんとケリをつける落ちもよい。最後はシリーズとしての謎を提示しつつ、ふふっとなる形でしめてのストリング。最高の気分で見終えられること間違いなしである。