ブルー・イグアナの夜 : 映画評論・批評
2003年1月15日更新
2000年1月25日より銀座シネパトスほかにてロードショー
全編即興で作り上げたストリッパー映画
「イル・ポスティーノ」で世界中の涙を誘ったマイケル・ラドフォード監督の最新作と聞けば、またまた感動的な映画と思いきや、この作品は「ブギーナイツ」の舞台でも知られるポルノ産業の中心地サン・フェルナンド・バレーの、とあるストリップ・バーの日常を描いたものだ。
ラドフォードは今回、主要キャストたちとディスカッションしながら映画を作り上げる手法を採用、撮影は基本的には全編がアドリブで行われた。共同製作というスタイルがそうさせたのか、ダリル・ハンナを始めストリッパーを演じた女優たちはいい脱ぎっぷりを披露。濃厚なベッド・シーンはないものの、アメリカのストリップ独特のバーを使ってアクロバティックな動きを完全に体得しているのも驚きだ。
とはいえ、やはりアドリブだけにロシア人の殺し屋が登場したり、ダンサーの1人がポエトリー・リーディングにのめり込んだりと、ちぐはぐで青臭い印象は拭えないが、それがロケ地の殺伐とした雰囲気と相まってニュー・シネマのような不思議な香りを放っている。
(編集部)