「斬新な切り口を見せたガス・ヴァン・サント監督の異色の悪女映画」誘う女 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
斬新な切り口を見せたガス・ヴァン・サント監督の異色の悪女映画
ニコール・キッドマンの悪女振りを見る映画。犯罪を犯した三人のインタビューカットを終始組み入れて、事件の内面と外面の両方を見せる構成の面白さ。ガス・ヴァン・サントの演出では、無知な高校生の男女の表現が上手い。特に男の気持ち悪さのリアリティは傑出している。その為マット・ディロンの役柄が単純すぎて、個性を感じない。もっとこの夫の馬鹿さ加減が出ていいはず。夫の姉を演じた女優がいいキャラクターと存在感で、これも印象に残る。描き方の斬新さはあるが、監督の視点が定まっていない分構成が弱いと見た。完成度を上げられる余地が残る一寸惜しい作品だった。
1997年 1月27日
記録を転記していて印象に残った男優が、当時20歳のホアキン・フェニックスと知る。サント監督の演出も良かったのだろうが、既に彼らしい演技の拘りが強烈だったことに改めて気付かされた。
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