「ビッグ・フィッシュ」ビッグ・フィッシュ ガブさんの映画レビュー(感想・評価)
ビッグ・フィッシュ
ビッグ・フィッシュというのは何かの比喩なのかと思っていたら釣りの話が始まった。
文字通り大きな魚を釣る話。
その語り口に白鯨を思い出してた。
白鯨…老人が怪物鯨を追い求める復讐劇だ。
これはこれで面白い。
白鯨を題材にした映画は幾つかあるが最近、記憶に新しいのは「白鯨との闘い」。
なかなかオススメだ。
青年が大きな魚を釣り上げ失った金の指輪を取り戻す。
まるでコメディの様な展開に少し面食らいつつ、その指輪の輝きにロードオブザリングを思い出していた。
このままビッグ・フィッシュ完と終わっても不思議じゃないぐらいのシーンだ。
この先何が待ってるのだろうか…
ガラスの瞳を持つ魔女。
どこまで本当でどこから作り話なんだろう?
子供に聞かせるために創作したのか、実体験を元にしたのか、おとぎ話の様なファンタジー加減がなかなか面白い。
この魔女の瞳に映った死がなんなのか…きっとラストに効いてくるに違いない。
ドン・キホーテの様な物語は尚も続く…頭を切り替えてファンタジーだと思う事にした。
ファンタジーは好きなのでそういう見方をすれば楽しめる。
エドワードの話は作り話かもしれないが人を惹きつける何かを持っている。
私も爪の垢ほどでいいので分けて欲しいものだ。
でもウィルはそうはいかないみたい。
父親に本当の姿を見せて欲しいと話している。
ウィルの立場になると、いつも周りにあんな話ばかりする父親というのは少し厄介なのかもしれない。
そういえば私は途中までエドワードはユアンではなく、その横にいた、ぽっちゃり青年がユアンを見てそれを語っているのかと思っていた。
役者さんには大変失礼な話であるがユアンが歳をとったとしても、ああはならないだろうというのもあったから、むしろあの容姿はぽっちゃりくんの方だろうさ!(笑)
病室に横たわり死んでしまいそうなエドワード。
魔女の瞳に映った死に様はこんな光景だったんだろうか…至って普通だ。
そう思っていたらエドワードがウィルにかぼそい声で話し始めた。
ウィルは、いつも聞かされてばかりだった物語を、おそらく初めて自分で語ったんだと思う。
上出来じゃないか、泣けてきたよ。
だからビッグ・フィッシュなのかと感服した。
葬儀の場で、ウィルは父の物語の真実に気づいただろう。
作り話の中にも真実がある、エドワードの語りは人を豊かにさせる。
最後の葬儀の皆の表情が彼の人となりを物語っていたんじゃないだろうか。