「かなり思い入れの深い作品!」閉ざされた森 アンダーアーマンさんの映画レビュー(感想・評価)
かなり思い入れの深い作品!
作品の性質上、あまり踏み込んだレビューができないのが、それでもこの映画をまだ見たことがない人がいたとすれば、それは幸せなことだと断言できよう。
なぜならこの映画をなんの前情報もなしに見られるからだ!
...という前置きはさておき、実はこの作品には個人的に深い思い入れがある。
というのも、私にとっての映画メンターである父親が愛してやまない作品として、幼い頃から猛プッシュを受けていたからである。
しかし、この作品を見たことのある人ならわかることだが、とても園児〜小学生が見て映画全体への理解が及ぶとは考えられないほど緻密なディテールが張り巡らされた作品であったといえよう。
もちろん、だからといって映画自体がひどく鈍重でテンポ感に乏しい作品に成り下がっているわけではない。
むしろ、見終わった後に感じる感想としては「なんだ、意外とシンプルな内容だったな」といったところだ。
しかし、これこそがこの作品自体が持つ魅力でもあると私は思うのだ。
たしかに、大どんでん返しを狙った映画作品はこの映画以外にも多々あるだろう。
が、この作品はどんでん返しからの大どんでん返し...からのさらに我々の意識を物語の根底から覆させるような大大どんでん返し(くどい)までを演出しきっており、なおかつ見終わった後には喉ごしの良い爽快かつシンプルな感想が溢れ出すという作りが(意図的に)されている。
あまり脳科学に詳しくはないのだが、俗に言う「アハ体験」に近いような、そんな爽快感が映画を観ていくにつれて感じられるこの体験は、数あるどんでん返し系映画(勝手に命名)の中でもこの映画でしか体感できなかった。
幼心には気づかない、非常に面白いカラクリが随所に散りばめられている作品であるし、なにより映画メンターである父の見る目に驚かされるばかりである。