「ちょっとした欲と転落。「悪」としてではなく、人間の性質の1つとしての犯罪」バーバー f(unction)さんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっとした欲と転落。「悪」としてではなく、人間の性質の1つとしての犯罪
『ファーゴ』(1995)では狂言誘拐,『バーバー』(2001)では脅迫。コーエン兄弟が描いたのは,ちょっと欲を出して簡単に大金を得ようとした結果,想定外の事態が発生し,金持ちになるどころか家族や自分の命まで失う人々だった。「こんなことになるなら、今まで通りの生活をしていればよかった」
『バーバー』の主人公の仕事は,床屋である。
「ちょっと欲を出して全てを失う」
「1日に0.3mmしか伸びないが,待っていれば必ず伸びる髪の毛」
劇中で明言されることはないが,この2つが対比されているようにも思える。
『ファーゴ』や『バーバー』における犯罪は,「正義」「悪」と言った観点から,断罪されることはない。登場人物たちは,しばしば「犯罪」という語によって示唆するような悪意を持たない、もっと素朴な人々だ。素朴な人間のちょっとした工夫,「欲」の延長として"犯罪"が描かれるのだ。
モノクロ版もカラー版も共にたまらなく美しい。
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