アバウト・シュミットのレビュー・感想・評価
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沁みる映画
10年ぶり2度目の視聴。
前に観たのは学生の頃。そのときの印象はだらしないおっさんの哀愁物語。
今観ると全く印象が違います。
映画はまず退職まであと数十秒、オフィスの自室で定年までカウントダウンを刻む時計をじっと見つめるジャックニコルソンの姿から始まります。
自分の会社員人生を振り返っているのか、はたまたこれからの一変する生活を憂いているのか。
それまでは社会に、部下に、会社に、家族に必要とされ、全てを背負ってプライベートも切り捨てて働いてきた自分。これからはどのような生活となるのか想像もできないでしょう。
家には42年間連れ添った妻。一人娘は遠くはなれた街で結婚式を控えています。
周りの全てを背負って働いてきた会社員、名は残せなかったものの他の誰にも真似できない仕事をしてきた自負、誇り。家族にも平均以上の暮らしを提供してきた。そんなプライドを抱えても寂しさや虚しさは募るばかり。
そんな中、長年連れ添った妻が突然倒れ、帰らぬ人に。
虚無感と焦りの中を迷走しながら、過去の自分を辿る旅に出ます。
若い頃のジャックニコルソンも好きですが、この年齢の力の抜けた彼の演技も最高。
もう引退したとも報道されるなか、じっくり彼の演技を楽しみたいものです。
ラストシーンの演技は本当に秀逸。表情ひとつであれだけの多くのことを伝えられる役者は今後も現れないでしょう。
誰かに必要にされているよね
自分がいなくなっても、きっと世界は変わらないんだろうなーって
自分の存在が小さく感じちゃうけど、
この映画を見ると、きっと誰かを必要にし、必要にされているんだなっと感じる映画でした。
ジャック・ニコルソンのだらしない演技が哀愁を誘います。
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