劇場公開日 2003年8月23日

「全力疾走ゾンビの生みの親」28日後... somebukiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 全力疾走ゾンビの生みの親

2025年6月29日
iPhoneアプリから投稿

昨今のゾンビ映画や感染症のパニック映画といえば「あ〜」って前に倣え!の状態でゆっくり歩いてくるのではなく、「新感染」「哭声コクソン」など全力疾走で追いかけてくる、異常なまでの暴力的な化け物が多い。

これらの全力疾走パンデミック映画の先駆けとなるのが、この「28日後。。」

監督は「トレインスポッティング」や「スラムドックミリオネア」など取られているダニーボイル。

人間の極限状態を撮るのが上手い印象やけど、2002年から上手かったとは。

当時制作予算は8Mドルで挑み、興行収入は10倍の約80Mドルになるほど、評価を受け、続編などシリーズ化のきっかけとなった第1作目。

あらすじは・・・
研究所で猿に感染していた凶暴化になるウイルスが漏れてしまい、イギリス内で蔓延。28日後に病院で目を覚ました男性が、ゴーストタウンとなった街で恐怖におそわれる話。

冒頭、おそらくウイルス蔓延の原因となる研究所からのシーンから始まる。
結局いつも人間自身が引き起こしているじゃないかと絶望させられる。

そして、シーンは変わりゴーストタウンになり、街中の歩く主人公。今見ると、まるでコロナ禍の街中を見ているようだった。
(実際はロンドンの通りを早朝封鎖し、撮影したらしい。)

先駆けと言われているが、実は公開当時従来のゾンビ映画は墓から死者が蘇るのが普通だったため、高速で走り出すゾンビは受けられなかったらしい。
しかし、次第に受け入れられ、これが新常識となった。

そしてさらに革命的な新常識は、血を取り込んでしまうと感染してしまうというところ。
今までは噛まれたら感染するっていうのが一般的だったが、本作では感染者の血を目に入れるだけで感染してしまう。
(まぁ、今考えれば当たり前なんなけど)

感染者をとりあえず、殺せばいいわけではなく、返り血を目や口に入れないように注意するという描写も新鮮だった。

感染者から追いかけられて、極限状態の中でなんとか生きようとする人々。
生きようとはしているが、心半ばあきらめているものなど、当時から分かりやすい外的要因と、人間ドラマのせめぎ合い、助け合いが必要な時にこそ、強きものルールを従わせる場面が、まさに人間のエゴ。

「28日後」以降にも数多くの作品に関わり、どれも設定の面白さだけでなく、人間の極限を表すのが、なんとも魅力的である。

ラストのあえての爽やかさ。
気づいたどうかは判断できないのに、今度は見てくれた!という極限状態でも未来や希望に目を向けているのも意外にダニーボイル監督の作品性なのかもしれない!

somebuki
PR U-NEXTで本編を観る