「より人間味が増したディレクターズカット版」トロイ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
より人間味が増したディレクターズカット版
劇場公開から8年ぶりにBlu-rayで見た。ディレクターズカット版で公開時より33分長く3時間を超えるが長さを感じない。無駄なカットがひとつもないからだ。むしろ、公開時でも長めだった尺の中でさえ描き切れていない部分があったのだと改めて知ることができる。
とくにアキレスとアガメムノンの確執、トロイの王と王子の親子愛、そしてパリスとヘレン、アキレスとプリセウスという二つの愛がカットの追加によりより深く描かれる。
いずれも、本作の核になる部分で、物語が分かりやすくなるだけでなく、作品をより重厚なものにした。
ヘレンを演じたダイアン・クルーガーにいたっては、公開時より遥かに綺麗に見える。これは、パリスとの衝動的な愛と迷いが一層深く描写されたため人間的な魅力が増して見えるようになったからだろう。
もともと、本作はギリシャ神話を題材にしながら、すべての登場人物を神格化したり神の庇護のもとに置いたりせず、人間のドラマとして作り上げている。オリンポスの神々も出てこない。
豪華な配役で、どのキャラクターも人間味に溢れているからこそ、196分を飽きずに何度でも見られるのだ。
ただ、何度見ても両軍がぶつかり合う先頭にだけは立ちたくないと思う。
Blu-rayは、劇場で見たギリシャ軍の無数のガレー船も、潰れることなく細かく再現する。
また、地中海の青、その青に映える藍色がかった濃い青に染められたヘクトルとパリスの衣装もそのまま美しい。
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