劇場公開日 2005年7月30日

チーム★アメリカ ワールドポリス : 特集

2005年7月19日更新

「サウスパーク」同様、その過激なセリフまわしが生命線の「チーム★アメリカ」。スラングや4レターワード満載な本作を、いかに日本語字幕で面白く伝えることができるのか? というわけで、本作の字幕翻訳を手掛けた桑原あつし氏に話を聞いた。このところ、いろいろな意味で注目されている字幕翻訳業の裏側とは?

翻訳者に聞く、字幕翻訳の舞台裏

聞き手:編集部

――どんな経緯で「チーム★アメリカ」の字幕翻訳をやることになったんですか?

翻訳のほか、脚本や批評の執筆など 多岐に渡る文筆業で活躍する桑原あつし氏
翻訳のほか、脚本や批評の執筆など 多岐に渡る文筆業で活躍する桑原あつし氏

「もともとトレイ(・パーカー)とは知り合いで、『サウスパーク』の翻訳もやっている関係から自然の流れでといった感じでしたね。字幕翻訳の仕事は『サウスパーク』が初めてでしたが、おかげでスラングや歌関係、ライム(韻)の部分を翻訳してほしいという依頼が多くなりました。僕がやる作品のほとんどはR-18(成人指定)か、テレビだと夜10時以降にしか放送されないものばかりですよ(笑)。まあ、日本語吹き替え用の翻訳だと『宇宙戦争』とか、普通のドリームワークス作品なんかもやってますけど」

――例えば今回はR-18作品ですが、そうした過激な描写はどのように生まれたのか、何かご存知ですか?

「例のセックスシーンは、日本のAVの影響が露骨に出てるというか……。実は僕がトレイにいろいろ持っていったんです。あんまりアメリカのポルノでは見かけない体位とか出てきますから(笑)」

――桑原さんが知恵つけてたんですね(笑)。キム・ジョンイルの描写についてはどうですか? かなりデリケートな部分もあったんじゃないかと思いますが。

劇中では歌も歌う独裁者
劇中では歌も歌う独裁者

「別に彼らは政治的なことはあまり考えていないし、好きでもないと思うんですよ。基準は単に面白いかどうかだけです。でも、キム・ジョンイルは、この作品の中ではいい扱いじゃないですか? これ見るとみんなキム・ジョンイル好きになりますよね(笑)。ただ、(北朝鮮政府筋から)抗議のあった国もあるようですから、多分、ジョンイルはこの映画のフィルムを持ってるんでしょうね」(編注:抗議とはこれのことを指す)

――確かに本作のキム・ジョンイルは可愛いかも(笑)。ただ、ある種のタブーでもあるかとは思うのですが。

「この間のサッカーW杯予選の日本対北朝鮮戦で、キム・ジョンイルの歌ってる場面のTVスポットでも1本流せば、あとは宣伝する必要ないくらいですよね(笑)。『サウスパーク』にしてもそうですけど、叩かれないとヒットしない映画なので。思ったより叩かれないんですよ、日本って」

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