劇場公開日 2004年12月25日

スーパーサイズ・ミー : インタビュー

2004年12月15日更新

04年のサンダンス映画祭で脚光を浴びた1本のドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」。それは、「1日3食をすべてファーストフードですませると、人間はどうなるのか?」という疑問の答えを、監督自身の体を張った実験で証明するというオドロキの内容で、監督のモーガンス・スパーロックの名を一躍世に知らしめた。そんなとんでもない発想で映画を作っちゃう監督兼“被験者”のモーガン・スパーロックって、どんな人? eiga.com編集部では、来日した監督にインタビューを敢行した。

モーガン・スパーロック監督インタビュー

「2012年になったら、またハンバーガーを食べるかもしれないね(笑)」

編集部

――まさに体を張った実験で驚きました。途中で医師から中止するように言われながらも、あなたは実験を続けたましたね。

モーガン・スパーロック監督
モーガン・スパーロック監督

「僕はもともと一度始めたことを途中であきらめるタイプではないんだけど、そうは言っても、医師に中止するよう言われたときは、この先どうなるのかという恐怖感はあったよ。映画には登場してないけど、両親や友達にも『もう証明したいことは十分証明されたから、やめなさい』と言われたんだ。でも、一番上の兄に『普通の人はこの食べ物を一生食べ続けるのに、おまえは後9日間食べるだけで死ぬわけないじゃないか』と言われ、その時の僕にはそれがすごく論理的に思えて、実験を続行することにしたんだ。でも、今思い返すと、本当に何もなくすんでラッキーだったと思うよ」

――映画を作り始めたときと終えたときで、自身の考えに変化は?

「とにかく子供たちの食生活を変えることだと、真剣に考えるようになった。今回の実験で実感したことを子供たちに伝えたいし、僕自身“食”に対する認識が随分変わったよ。アメリカではこの映画の劇場公開は終わったけど、DVDが発売されたのを機会に、各地の学校を回って、子供たちやその両親、先生方にも観てもらい、問題定義をしたいと思って活動しているんだ」

――手術のシーンなど、子供には少々刺激が強いと思う映像もありましたが。

実験中は定期的に診断を受け、 体調や体型の変化を記録していく
実験中は定期的に診断を受け、 体調や体型の変化を記録していく

「確かに8歳や9歳、それ以下の子供たちにはどうかなと思うところは、僕自身あるよ。この映画は“PG-13”(13歳以下の児童には不適切な箇所がある)とういレイティングを受けたけど、それでも13歳以上の子供たちには観せることができる。でも、やはり学校で観せたいという気持ちがあるから、再編集して汚い言葉やいくつかのシーンを抜いて、10歳から12歳までの子供たちにも適した“PG”というレーティングの編集のバージョンも作ったんだ。ただ、手術のシーンはあえて残しているよ。ああなってしまうという現実だからね」

――実際の観客の反応はどうでしたか?

「僕が行った試写会では、最初はみんな大きなコカ・コーラなどを持っているんだけど、上映が始まって15分ぐらいたつと、みんなそれを床にそーっと置いて、誰も笑わないんだ。その様子を見て、『この映画はかなり影響力があるのかな』と思ったね」

インタビュー2 ~モーガン・スパーロック監督インタビュー
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