劇場公開日 2001年4月14日

「「感じ」って大事だな」スターリングラード pekeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「感じ」って大事だな

2024年10月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「午前十時の映画祭」で鑑賞。

ソ連軍の名スナイパーを主人公にして、スターリングラード攻防戦の凄惨を描いた作品。見応えありの大作です。

狙撃や爆撃シーンの迫力、サーシャの使い方、官能的なセックスシーン等々、見どころたっぷり。
中でも〈空爆〉→〈ガラス片降ってくる〉→〈反射〉のシーケンスは本作のハイライトではないでしょうか。

ただこの映画、寒冷地が舞台だから寒々とした映像が続き、しかも死屍累々の場面が多く、見ているだけでけっこう疲れた。
あの時代のあの場所で戦うハメにならなくてよかった、自分は幸運だな、と思いました。

さてさて、それよりも何よりも今回の鑑賞で一番感じたのは、言語の問題です。
上映開始後、翻訳者として戸田奈津子さんの名前が。それで「セリフは英語なんだな」とわかった。
登場人物たちが本来話すべき言語以外でストーリーが展開する映画の場合、僕は「これは大がかりな舞台劇、演劇なんだ」と思うようにしている。そうすれば違和感がほとんどなくなるから。たとえば、映画で日本人が日本語で『ロミオとジュリエット』を演じていたら変に感じるけど、演劇だったらほとんど気にならない。そういうことです。まあハン・ソロやダース・ベイダーも英語を話すんだしね。

でもそういうふうに割り切って見ようとしても、今回はどうしても違和感を払拭することができなかった。
大戦中のスターリングラードでロシア人やドイツ人が英語を話しつづけるということに、宇宙人が英語を話すよりも違和感を感じてしまった。どうしても「感じ」が出ないんだよなぁ。英語じゃ(うーん、うまく言えないけど)。
役名をいかにもロシア的な名前にしたり、エンド・クレジットの字体をがんばって工夫して社会主義的な硬直感を表現したりしているけど、そんなことでは全然ダメだった。
やっぱりその国の、その土地の言葉の響きというのは、とても大事なのだと思いました。

それでは、ダスヴィダーニャ👋

peke