「チープなタイトルのアクション物ではありません。」スパイ・ゲーム 読書&映画オタクさんの映画レビュー(感想・評価)
チープなタイトルのアクション物ではありません。
スパイという特殊な仕事でしかも情報量が多いから一度見ただけではわかりづらい部分もありますが、これは稀有なヒューマンドラマ。以下を参照下さい。
理想主義の熱血漢的な役をブラピが、冷徹なベテランスパイをロバレが、新旧二大スターが激しくぶつかり合い、葛藤や苦悩、恋愛、現実と理想、
これは今を生きる私達にも身近なテーマ。 舞台はあくまでCIA本部。一歩も出ない。007みたいに味方が捕まったら 対戦車ライフル抱えて敵地に乗り込んでくような 非現実的な映画ではなく、クレバーで、リアリティある映画であると思います。 ロバートが素晴らしい、彼が演じた 人を野球のカードのように扱う人間の屑を 彼が演じることで最初から、哀愁を感じてしまうし、CIAというお堅い組織でみんなダークな スーツに身をまとっている中、ツイードのジャケットにグレーのパンツ、ヒールのある靴、まるで異端児でありながら、違和感や嫌悪感を見ているものに与えない、ブラピは繊細な性格をこの映画で理想主義者であるために、米国万歳な社会正義に順応できない青くささを見事に体現している。そして、ロバレが演じたキャラクターが引退の日に彼の人間としての尊厳に応え、全財産をかけてまで彼を窮地から救い出す、ひとつのけじめをつけるお話なのだと思いました。 ラスト、CIA本部から全てをやり遂げたかのように出てくるロバート演じるミュアーの表情がたまらない。なぜなら彼とて米国帝国主義のもとに汚れ仕事をしてきたのだから、すべてを洗い流すように・・・
全編を通して本物の戦う男の姿が描かれたドラマ。
特典DISCの内容を一枚に纏めてほしかったですが。対訳本を買うとより楽しめます。
やはり字幕や吹き替えでは知りえない深さが出ている。
レビュー追記:現実のロバートとブラッドという役者のキャリアと関係性が重なる稀有な映画。私はリアルタイムでロバートレッドフォードという人を見たのがモンタナの風に抱かれてという作品で彼を知り、それからあらゆる作品でロバートレッドフォードという人を見ると、この映画の中の、数々の任務をこなして来た伝説のCIA工作員という現実のキャリアと重なる。スティングや大統領の陰謀等の傑作で主演を担い、人間の心の機微を丹念に監督として描き数々の映画賞に軌跡を残し、そして若き世代の為にサンダンス映画祭を旗揚げし、ここまでされたらスタート言わざるを得ない。その中にリバーランズスルーイットという作品でブラッドピットを主演に起用したのもまたこの映画の中の話と重なる。独自のスタンスを貫き通し今もなお孤高のスタートして活動を続けている姿はその後のこの映画の主人公、ネイサンミュアーのその後の姿なのかもしれない。大義名分の元に徹底して、米国の帝国主義の元に汚いことをしてきたが引退の日にあの行動を起こしたのは彼に親炙されながらも青臭さをぶつけ、彼によって救い出されたブラッドが演じたトムビショップの人間としての道理は今なお大衆に愛される次の世代のスターの座を渡したのかもしれない。