「【”優れたるスパイこそ人情があり愛する女性は一人なのである。”老練なスパイが、自身が育てた資質ある若きスパイを育てる過程と、CIAに見放された捕らわれた彼を必死に助けようとする姿が沁みる作品。】」スパイ・ゲーム NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”優れたるスパイこそ人情があり愛する女性は一人なのである。”老練なスパイが、自身が育てた資質ある若きスパイを育てる過程と、CIAに見放された捕らわれた彼を必死に助けようとする姿が沁みる作品。】
■中国の蘇州の刑務所に投獄中の人物を救出にやってきたCIAエージェントのトム・ビショップ(ブラッド・ピット)。
一方、ワシントンDCではCIAの作戦担当官・ネイソン・ミュアー(ロバート・レッドフォード)が華々しいキャリアの最終日を迎えようとしていた。
そこへ香港の米国大使館からビショップが中国で投獄されたとの電話が入り、ミュアーは彼を救出すべく、遠方地から行動を起こすのである。
◆感想が<Caution!内容に触れています。>
・今作は、ミュアーがビショップのスパイとしての素質を見抜き、東ドイツや、パレスチナでのミュアーが彼を一流のスパイとするために、過酷な課題を示す様と、中国に捕らわれた現在のビショップの姿を並行して描いている。
ー 特に、パレスチナでビショップが人民を殺す指揮官サラメをパレスチナの医師を使って、秘密裏に毒殺しようとするシーンは、緊迫感がある。
そして、序盤は謎であったビショップが中国の蘇州の刑務所に投獄中の人物を助けようとする理由が、パレスチナで出会い、恋に落ちたフィクサーでありながら、人道主義者であったエリザベス・ハドレー(キャサリン・マコーマック)が、唯一悔いていた中国での誰も居ないと思っていたビル爆破事件で、死者出してしまった事を悔いる事を、ビショップに告げるシーンで、全てが繋がったのである。-
・CIAが対中国との関係を保つために、ビショップを見捨てようとすることを察したミュアーが、自身のあらゆる伝手を使い、それを阻止しようとする姿。最初は知り合いの香港ジャーナリストに連絡を取り、ビショップの状況を流させるが、CIAによりビショップは既に無きモノである事がニュースで流れると、彼は更に行動を進めるのである。
■ビショップが多くのCIAに勤める人々から慕われている事と、パレスチナでビショップから決別の言葉を受けていても、【自身が育てた愛弟子】を見捨てない姿が、沁みる。
ビショップは老後のための自身の株を売って、蘇州の電源を数十分切らせ”ディナー作戦”を結構するのである。CIA長官の筆跡を真似て、命令書を作る姿。
<ビショップ処刑までの時間が、刻々と記される中”ディナー作戦”は決行され、救出されたヘリコプターの中で、ビショップはパレスチナで深く愛した女性で中国政府に爆弾犯として捕らわれていたエリザベスの姿を見て、涙を流すのである。
今作は、老練なるスパイ、ミュアーを演じたロバート・レッドフォードの飄々としながらも、着実に自分が育て上げたブラッド・ピット演じるをCIAから見放されたトム・ビショップを救出する姿と、彼を育てる東ドイツ、パレスチナでの苛烈なるスパイ作戦とを並行して見せる映画なのである。>