「公開から17年。単なる超常現象映画にとどまらぬ”何か”に気づかされる」サイン ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
公開から17年。単なる超常現象映画にとどまらぬ”何か”に気づかされる
シャマラン監督は初期3部作にて、幼少期からの興味関心や好奇心をそのまま自分の創作世界の産物としてストーリー化する手法を繰り返してきた。とりわけ「ミステリーサークル」のような80年代に多発した超常現象は、ずっと彼の頭を支配してやまなかったもの。大人になった今、自分なりのやり方であれを換骨奪胎して自分の理解の上に乗せるという試みは、まさに彼なりの通過儀礼であり、落とし前のつけ方なのだろう。
本作の撮影は米同時多発テロの翌々日に始まった。そして最初の撮影は主人公の妻との別れ、最期のひと時のシーン。開始直前にはスタッフとキャスト全員でキャンドルを灯して黙祷も行ったという。いかに本作が単なる超常現象映画を超えて、アメリカ人として巨大な苦しみにぶつかった時に生まれた作品かが伺える。主人公が何かを失い、そしてそれを取り戻すというストーリーも、何かこの時代、この時期を象徴するものを感じずにいられない。
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