劇場公開日 2003年11月5日

「【目的と選択】」マトリックス レボリューションズ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【目的と選択】

2021年12月19日
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マトリックス ・シリーズの最終章「レボリューションズ」の見どころは、前2作での疑問に解が与えられる他に、人間とセンティネルを中心としたマシンとの戦いの場面だと思う。

絶望的な戦いを強いられながらも、命懸けの抵抗を示す人間たち。手に汗握る場面だ。

そして、解。

(以下ネタバレ)

この「レボリューションズ」でも、様々な示唆が与えられている。

無秩序で生きる目的がないものは削除される。

つまり、目的を持って生きることが重要なのだ。

では、目的とは何か?

原因と結果、因果応報を語り、目的の範囲を都合よく操作して説き伏せようとする者たち。

本来、目的は自ら見出すものではないのか。

預言者が、スミスはバランスを取るために、ネオの対極に位置する存在だと言う。

それは本当なのか。

人間が作ったフィクションである神の戯言(ざれごと)ではないのか。

神の対極に悪魔や地獄を作り上げ、恐怖で人間を支配しようとしているのと同じではないのか。

仮にそうだとしたら、どうするべきなのか。

提示された選択が二者択一だからといって、第三の選択を探れないわけではないだろう。

実は、そんなバランスやスミスは、思い込みだけで、元からないのではないのか。

スミスが、「自由、真実、平和、愛は幻想だ。愚かな人間の知性が、今も”目的”もなく存在するのを正当化するための幻だ。それはマトリックス と同じ虚構だ。つまらない愛を作り出せるのは人間だけだ」と言う。

果たしてそうだろうか。

実は、この対極にあるスミスこそが幻想なのではないのか。

スミスがある事によってバランスが与えられていると考える事が幻想なのではないのか。

すでにデファクトのように思われている神や天国と、対極にある悪魔や地獄の存在。

僕たちは、二者択一の二元論の世界に生きているわけではない。

神や悪魔と云ったものに囚われなず、それぞれが目的を持って生きる調和した世界がきっとあると信じることこそが重要だと言っているように思える。

「レザレクションズ」公開を前に再び鑑賞してみて、当時は気付かなかった面白さを再認識することが出来たような気がする。

トリニティーが命を落とすのは必然だったのだろうかと今でも悲しくなるが、明日から始まる「レザレクションズ」に期待だ。

ワンコ