ミスティック・リバー : インタビュー
クリント・イーストウッド監督インタビュー
――スタート前から、この映画についての明確な構想を持っていましたか? また、それは途中で変わっていくものですか?
「こうしたいという構想はあるけど、それは日常のようにどんどん変っていくものだ。建築の図面のようにはいかない。どちらかというと概念図に近いもので、映画製作の過程では予期せぬことがいろいろと起こる。特に俳優が集結して、いよいよ撮影が始まったとたん、いろいろなハプニングが起こる。そういうときは原作に戻って、作者が意図したことを合理的な範囲内で生かすように努めている」
――この映画の映像スタイルは?
「重点を置きたかったのは人物描写で、映像スタイルに関して言えば、ボストンの風景とその特徴的な雰囲気をとらえたいと思った。ただ、ホワイティーというキャラクターはローレンス・フィッシュバーンに変えた。それは、誰かアウトサイダーを登場させて、そこで起こっていることを関係のない人物の目を通して見た、アウトサイダーの視点がほしかったからだ。だけど、どのキャラクターもまったくの無関係ということはない。ほかの映画の中には、キャラクターが心の中をあまり見せないことがよくある。この映画では、1人1人のキャラクターがつながりを持っている。おそらく例外は、何人かの1日だけの俳優たちだけだろう。しかも、彼らにしてもその瞬間は重要な存在なのだ。例外を除いた残りの人たちは全員、お互いにつながりがある」
――今回は監督と製作だけですが……。
「複雑な脚本だからね。それに、そのほうが楽なんだ。というのは、主演も兼ねている時のように、誰かが私の髪を引っ張ったり、ジャケットにブラシをかけたりするのを気にする必要がないからね。主演と監督を兼ねる映画を作ることは、もう2度とないだろう。キツすぎるからね」