「もし自分ならと考えると…。マイケル・ダグラスは大人だなぁ。」ゲーム たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
もし自分ならと考えると…。マイケル・ダグラスは大人だなぁ。
父親が自殺した年齢と同じ48歳の誕生日を迎えた資産家ニコラスが、謎のゲームに巻き込まれていく様を描くサスペンス・スリラー。
監督は『エイリアン3』『セブン』の、名匠デビッド・フィンチャー。
主人公ニコラス・ヴァン・オートンを演じるのは『ブラック・レイン』『氷の微笑』の、レジェンド俳優マイケル・ダグラス。
主人公の弟コンラッド・ヴァン・オートンを演じるのは『俺たちは天使じゃない』『カリートの道』の、後のオスカー俳優ショーン・ペン。
映画はある裕福そうな家庭のホームビデオから始まる。
この映像は流石デヴィッド・フィンチャーというしかない洗練されたカッコ良さ。
内容はなんて事のない誕生日パーティーの様子なのだが、得も言われぬ不穏な雰囲気を放っている。
また、その後の映画の展開を暗示するかのようなピエロ、そしてプールへ突き落とされるシーンがさりげなく挿入されているところもスマート。
弟のコンラッドに誘われるまま、CRSという会社に出向き謎のテストを受けるマイケル・ダグラス。
この会社の従業員の客を舐めている態度とか、テストの内容の不気味さが、観客の興味を誘発するよううまく機能している。
そして、帰宅したマイケル・ダグラスの前に、投身自殺した父親を思い出させるように、ピエロの人形が置いてある。その口には謎の鍵が…。
いや、ここまでは完璧。これとんでもない傑作なんじゃないの?と思っていたのだが、ここから映画の勢いが失速。
観客の不安を煽るスリラーがなくなり、B級のアクション映画の様な内容に落ちていく。
マイケル・ダグラスがこの映画の脚本を絶賛したらしいが、それ程のものだろうか…?
確かにクライマックスは気になるし、最後の最後で飛び降りたマイケル・ダグラスにはあっ!と思ったりもしたが、肩透かしなオチにはがっかり😞
大体、マイケル・ダグラスが大人だったから良かったものの、こんなん普通の人ならブチ切れて弟に絶縁状を突きつけるわっ!!
家はボロボロ。薬を飲まされてメキシコに放置。挙げ句はビルから突き落とされる予定だったって…。
いくらなんでも酷すぎる。今の時代、YouTubeに上げたら炎上待ったなし。
過去に囚われた自分の死と、新たなる自分の誕生を描いているのだろうが、ちょっと奇抜なことをやりすぎてしまっているかな。
雰囲気は良いんだけどねぇ…。