「ビル・コンドンからキンゼイ博士へのラブ・レター」愛についてのキンゼイ・レポート ダース平太さんの映画レビュー(感想・評価)
ビル・コンドンからキンゼイ博士へのラブ・レター
本作の監督のビル・コンドンは、ゲイであることを既にカミング・アウトしているが、彼が自身の作品の題材として、あらゆる性癖に対する偏見と誤解を取り除くことに心血を注ぎ、性の持つ大らかさや素晴らしさを訴えたキンゼイ博士を取り上げたのは、必然のことだろう。
映画全編を見渡してみても、コンドンのキンゼイ博士に対する愛情が至るところに溢れている。例えば世間からの激しいバッシングを受け、研究への資金援助も断たれ、自分の研究が無為なものであったのかと打ちひしがれたキンゼイ博士の元を訪れたレズビアンの女性が博士に語りかけるその言葉は、まさにコンドン監督からキンゼイ博士へのラブ・レターそのもの。それは、性別や性癖の壁を超えて感動的なのだ。
と、ここまで堅い話をしてきたが、この作品は、もちろんノンケの人が観ても楽しめる作品(私もノンケです。あしからずw)。中でも、内に秘めた同性に対する興味に目覚め、自分の愛弟子とベッド・インしてしまうキンゼイ博士の猪突猛進ぶりは、自分の家族に持ったら困り者かもしれないが、観ていて何とも微笑ましいのだ。ちょっときれいにまとめ過ぎたきらいもあるが、そこら辺は好みの問題。秀作であるのは確かだと思う。
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