劇場公開日 2004年7月24日

「リアル・アーサー」キング・アーサー(2004) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0リアル・アーサー

2018年11月6日
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鑑賞方法:DVD/BD、映画館

単純

興奮

難しい

ハリウッドが史劇スペクタクル映画ブームに沸いていた2004年に製作された“アーサー王映画”。
見るのは劇場で観て以来になるので、実に14年ぶり!
ストーリーもシーンの一つさえも何もかも、今回が初鑑賞と言っていいくらい覚えていない。

有名な“アーサー王と円卓の騎士”を題材にしているものの、従来の設定とは違うのが本作の特徴。
まず、アーサー王のモデルとも言われる古代ローマ軍人、アルトリウスをアーサー王として描いている。(ややこしい…)
時代設定も中世時代ではなく、それより遥か昔。
偉大な王やヒロイックな英雄としてではなく、勇士。
これまでのどのアーサー王像より現実味がある。

話としては…
アーサーと円卓の騎士の絆、グウィネヴィアとの出会い、命の保証の無い危険な任務、蛮族との闘い。
至ってシンプル。
苦悩・葛藤、アイデンティティー、民族の誇り。王としての素質。
これら話を深くするスパイスもオーソドックス。
題材は大胆なアプローチではあるが、話や作品自体は直球王道で、特に目新しさは無い。

アクション面は、アクション派のアントワン・フークアの演出やプロデュースのブラッカイマー印で、さすがの迫力。
中盤の氷上での闘いは、いつ氷が割れるかスリリング。
クライマックスの大合戦は、これぞ史劇スペクタクル・アクションの醍醐味。

アーサー役のクライヴ・オーウェンは男臭く、ランスロット役のヨアン・グリフィスは精悍で、悪役親子のステラン・スカルスガルドとティル・シュヴァイガーは憎々しい。
グウィネヴィアも従来の王妃のイメージではなく、キーラ・ナイトレイの熱演で、弓矢を手に、クライマックスは奇抜なメイクで闘う女戦士。
それにしても、アーサー役のオーウェンより円卓の騎士のマッツ・ミケルセンやジョエル・エドガードンの方が今や売れっ子に。

ドラマチックで、アクションは迫力あり、大作として見応えある。
数あるアーサー王映画の中でも非常にシリアスな作風。
が、なかなか分かりづらいのは、歴史背景や所々の宗教観や民族性。
特に、ブリテン人、ローマ人、サクソン人、ウォードなど交錯する各々民族がこんがらがる。

史実に基づいて描くリアルなアーサー王。
エンタメとして描くヒロイック・ファンタジーなアーサー王。
それぞれ好みも分かれる。
創作、大胆脚色、新解釈で描かれ方も違う。
そこがある意味、面白い。
だからこそ魅力があり、今も度々アーサー王映画が作られているのだろう。

近大