イノセンスのレビュー・感想・評価
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人間が人形?人形が人間?
"GHOST IN THE SHELL" シリーズ第2作。
Ultra HD Blu-rayで4回目の鑑賞。
原作は既読です。
前作よりも難解。何度観ても難しい。
おおまかなストーリーは理解出来るけれど、格言だらけで煙に巻かれているような気になるし、「何故人は自身の似姿をつくりたがるのか?」と云うテーマに関しても分からない。
「前者は教養不足、後者は理解力の無さだろ?」と指摘されてしまったら、正直ぐぅの音も出ないですが…
[余談]
UHDブルーレイで鑑賞したら、押井守監督が目指した映像美の真髄を堪能出来た気がして感無量でした。前作よりもUHDの恩恵を受けているように思いました。
※修正(2023/04/10)
人形はなぜ人の形をしているか
メイド用ロボットが所有者を殺害する事故が多発。テロの可能性を調べるため公安9課のバトーは調査を始め…。
攻殻機動隊の続編作品。人形はなぜ人の形をしているのかと言う問いかけと特殊な世界観での捜査劇の融合が人を選ぶが、繰り返し何度も観ているほど大好きな作品です。
ここまでくると悟りを開けそう
前作からサスペンスとしては簡単になったけど、哲学的テーマはさらに深くなっている。
本当に冗談抜きで宗教作れる。「ゴースト教」みたいな。難しすぎて正直何言ってんのかよく分からないけど眠くならない。
それだけ魅力的だというのもあるけど1番の容易は画がとにかく凄い!
新作だよ。って言われても信じてしまうレベルで綺麗。何十年も前とは思えない。それもそのはず、エンドクレジットを観てビックリした。
アニメ制作は毎度のことプロダクションIGだけどオープニング制作はプロダクションIG×3DCGアニメで最前線を走るポリゴンピクチュアズが制作。これだけでもヤバいのに制作協力にジブリ。
もう無双状態ですよ。
キム・マッスル尚美(なおみ)さんも心酔!押井守監督代表作で海外でも人気のSFアニメ!
こんにちは。キム・マッスル尚美(なおみ)です。
なんといっても、この映画は日本のアニメの中でも、
海外での評価が高いものになる押井守監督の代表作ともいえます。
むかし、キム・マッスル尚美(なおみ)が観たときは、
表現が怖いと思って、避けていました。
ジョジョを一瞬だけ観て、この画力と表現えげつないと思って、
避けていたのを思い出します。
今考えると、あの時のわたしなにやっってんだ!って感じですが笑
たまたま、この映画を観る機会があり、
最後まで観てみて、押井監督のこの世界観の虜になりました。
大人がみて楽しめる内容でもあります。
いつかこの私たちが生きている世の中にも、
起こりうる可能があるロボットと人間が住む世界、
いったい、どこがその境界線なのか、いつかわたしたちの世界がぶつかりそうな、
リアルな問題を題材にしており、深すぎて理解できない部分もあります。
けど、そのSFの世界観が大好きです。
以上、キム・マッスル尚美(なおみ)さんでした。
絵と音楽が最高
セル画とCGを巧みに組み合わせて映像美を追求したアニメに感動します。これはリアリティ追求し過ぎて、実写をも凌ぐほどの徹底ぶり・・・脱帽。アンドロイド、ガイノイド、セクサロイドといっぱい用語が出てきますが全てロボット(ゴーストを持たない電脳ロボット)だ。
ストーリーの根底はいたって単純で、ロボットが殺人、自殺するという前代未聞の事件を公安9課のバトーたちが捜査するというもの。しかし何故か肉付け部分がかなりのウェイトを占めてこの作品を複雑化しているのだ。特に登場人物の台詞の中には孔子の言葉や哲学者の名言を引用して比喩表現を多用。真剣に考えるとついていけなくなります。また、検査官ハラウェイとハッカー・キムが「何故人間は人間の姿をした人形を作りたがるのか」のようなニュアンスの問いかけをするものだから、観ている側は真剣に悩んでしまいます。
伏線として、「ロボット3原則」なるものがいつ破られてもおかしくない状況への警鐘・・・ロボットを作りすぎるなというメッセージが感じられます。また、バトーの電脳がハックされることの恐ろしさ、警察等の国家権力のネットワークが漏洩すると恐ろしいよ!なんてことも感じました。
電脳じゃないと理解できない
映像は綺麗だし独特な世界観もよい。
しかし、バトーにいまひとつ魅力がなく、ストーリーもさほどではない。
そのためか、この世界観すごいでしょ?と押しつけられているような気になってしまう。また、いかんせんセリフが哲学的にすぎ格言も多いため、しばしば置いていかれてしまう。あまりに蘊蓄が多すぎて消化不良。
アニメ界のゴダール監督作品
今回『イノセンス アブソリュート・エディション』なるBlu-rayを手に入れて改めて10年以上前のこの作品に触れることにした。
本作は上映当時に映画館で1回、DVDソフト化されたものを購入して1回、そして今回と計3回観たことになる。
押井守作品は実写も含めて結構観ていると思うが、改めて感じるのは映画としては致命的に語りが多いことだ。
ただ凡百の監督と違うのはそれが意味深なために作家性や奥深さが込められているのではないかと観客に納得させることである。
TV版では全くと言っていいほど政治色のなかった『機動警察パトレイバー』に政治を持ち込んだ『機動警察パトレイバー2 the movie』、こちらもやたらと主要登場キャラクターたちの此岸や彼岸で政治信条が語られる物語であった。
とにかく語りが多い。
なので、小難しい映画なんか観たくない!と思う人には全く薦められない。
また本人自身が語っているように人間性には興味がなく社会システムに重きを置く作家性からか実写映画は超絶面白くない。
筆者も実写映画に関しては押井という監督が好きだから観たり買ったりしているにすぎない。
さて本作は『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の続編である。
前作は言わずもがなハリウッドリメイクもされた程の押井の代表作である。
『マトリックス』シリーズを監督したウォシャウスキー兄弟(今は2人とも性転換して姉妹になった)に与えた影響は測り知れないし、ジェームズ・キャメロンもこの作品を観て以降ファンであることを公言している。
押井本人は本作だけを観ても面白いように創ったと強弁しているが、前作を観ないと全く理解できないと思う。
下手をするとTV版の『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』や『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』まで観ておいた方がいいのではないかとすら思う。
筆者は『攻殻機動隊』に関しては、TV版、OVA版、劇場新作も含め今も創り続けられるものは全て観ているので、正直なところどこが一般の観客にわかりにくいのかに鈍感になっている。
ただこの難解さは本人も大分意識していたと見えて少しでも売れるように宮崎駿の右腕とも言えるジブリの鈴木敏夫を三顧の礼をもってプロデューサーに迎え入れている。
前作で草薙素子という主役が実体である肉体を捨ててネットの世界にダイブしてしまった後の公安九課を描くのが本作になるが、もうそもそもこの前提が観ていない人には?かもしれない。
押井いわく「説明のつかない事をする人間というものを、人形の側から語ってみよう、そうすれば少しは人間というものがわかるかもしれない、と考えた」らしい。
まあ、???だろう。
観ればわかる!とは言い切れないが、?が1つは減って??になるかもしれない。
また本作は前作の『攻殻機動隊』へのオマージュ的な対比を意図的に演出しているように思われる。
冒頭のロボット製造シーンもそうだし、バトーの水中へダイブするシーン、そして最大の見せ場である敵の本拠地へ殴り込みをかけるシーンを当然のごとく最後に用意し、前作ではバトーが草薙を助けたが、今回は逆になる。
また前作で扉を開くために把手を回して腕がちぎれるシーンへのオマージュも忘れない。
もっとも自分で自作へのオマージュを入れるのはどうなのか、ツッコミを入れる余地はある。
前作同様、西田和枝社中の謡がオープニングそして本編途中で流れることで音楽から映像を盛り上げ、最後はエンディングでも流すことで余韻をもって締める。
特に前作の本編途中でこの謡が流れる際に香港を想起させる雑多なアジア調の街並のショットをいくつもつなげて最後にその人並みに埋もれている草薙を映し出すシーンは筆者の最も好きなシーンであり、この市井の中に埋もれていく個人を音楽と映像だけで魅せる手法を押井は多用している。『パトレイバー2』にもある。
ただ前回は主役の内面を映すシーンとして何気ない日常を切り取っていたのに対して、本作では主役が退場し残された者たちの侘びしさを逆に際立たせるためにあえて街中で祭りが行われている映像を使用することで異化効果を狙っているように思えた。
建造物の特徴や関羽像も登場するなど漢族系の祭りには間違いないが、日本の情緒的な祭りにせずド派手な祭りにしたことでこの効果を増したように思える。
劇中で登場人物たちが語る様々な格言のような片言はどこから引用されているか皆目検討がつかないが、そもそもありもしないディテールをでっちあげて世界を構築する作家であるボルヘスよろしく全くの嘘の可能性もある。
いずれにしてもこのような伏線や罠を張る手法は押井でなければ許されない。
何度観ても新たな発見があるだろうし、逆に何度観ても真の解答にはたどり着けなさそうでもある。
作曲を担当した川井憲次は最近では香港映画の『イップ・マン 継承』にも起用されるなど活躍の場を日本以外にも広げているが筆者には何を聞いても同じ曲に聞こえる。
『相棒』の作曲家である池頼広も数々のアニメに曲を提供しているが、彼の曲も全て同じに聞こえるので、筆者の中で彼ら2人は聞いてすぐにわかる作曲家の双璧をなしている。
そのせいか川井のも池のもなんとなく曲だけが浮いてしまうように聞こえることが殆どだが、押井作品にだけは妙に川井の曲が腑に落ちる。(池も『相棒』だけはしっくりくる。)
また当時映画館で観た時は最先端の映像技術に感じ入っていたが、今観ると車の動きなどがCG然としているなど思ったほどではないことに時の流れを感じる。
事件を解決するためにバトーとトグサは択捉島に向かうのだが、経済特区に指定されたものの施政の所属が曖昧なため無法地帯と化したという設定は北方四島の未来として全くあり得ないシナリオではない。
力を持っているのは前述した祭りの主体である漢族系のようだが、同時に敵の本拠地で話される言語は広東語であり、光と闇の両方を担わせている。
もっとも現在経済成長が鈍化してバブルも既にはじけている現実の漢族たちにはこのシナリオはいささか荷が重いだろう。
今年『CYBORG009 CALL OF DUTY』というアニメの3部作を観た。監督は神山健治という押井の弟子に当たる人物だが、劇中主人公の口を借りて今更ながらのありきたりな戦後平和主義を主張されて面食らった。
押井の著作である『監督稼業めった斬り』を読んで思うのは、彼の思想の特徴は左右の思想を超えたもっと冷たい視点で物事を捉えている点である。
宮崎駿は自身の左翼的な思想に縛られたままゼロ戦を描いたことで『風立ちぬ』において図らずも戦争は否定するが戦争兵器にロマンに覚えるという自身の分裂した感情をさらけ出してしまった。
押井もある意味分裂しているかもしれないが、人間が好きであるがゆえに、左右の思想で争い合っている人類自体が煩わしい!それならいっそのこと論理的な機械を信用する!というひねくれた印象を受ける。
本作はこれだけ書いても書き足りているようには思えないほど奥深い作品である。同時に通り一遍に楽しめる作品ではなく一見さんお断りなのも事実だ。
何度も見たくなる前作と、今作の違い
久々に見ましたが、この映画は押井監督の映像的な集大成であることは間違いなく、別の世界へ飛ばされるような雰囲気は最高です。
がっ、、、
映画として完成度が高いのはやはり前作でしょう。哲学的でありながらしっかりとクライム物、サスペンス物としてのエンターテイメント性を持ち、映像的にも想像を掻き立てる異様さと美しさがあり、何度も見ました(笑)
しかし、今作品は監督のノイローゼ臭が強すぎます。これまでに陰謀系や自我と魂系の作品を扱って来た途中で、あまりにそっち方面にのめり込みすぎてしまったのでしょうか(笑)
シリアスな作品とはいえ、前作には未来への憧れを感じられる雰囲気がありましたが、今作にはそれが無い。
哲学ゾンビでは無いですが、
『証明のしようが無い不安』に執着しすぎているように思えました。
映像的には申し分ないので、もっと映画として、攻殻としてのカタストロフィを押し出して頂ければ私は最高でした。
映像もセリフも芸術的
映像がとにかく綺麗だった。
やっぱりサントラも印象的で最高。
映像、音楽、間。全てが芸術的な作品だと感じた。
登場人物たちの会話が引用を多用しまくりで、それがかっこいい。
キムの洋館の場面の、あの象徴的な演出がとても好み。
つい見てしまう
先日『攻殻機動隊』を見た流れでこっちも見返す。前回見た時はいろいろ感じるところがあったのだが、今回は途中で寝てしまったためか特に何も感じなかった。
結局メインの攻防はネット空間なので、銃撃戦の意味がないように思う。そこに出かけて行って敵を倒しながらネット接続しなければならない設定なのだろうけど、それも作者側が勝手に設定した困難さなので、単に作り手が見せ場をつくりたいだけだろと思う。
寝てしまったのでバドーが何を捜査しているのかもよく分からなくて、命がけで取り組むほどの重要さも感じなかった。そもそも機械の体だからあんまり命が惜しくないのかもしれないし、むしろ死にたがっているのかもしれない。そんなのに付き合わされる一般の捜査員が気の毒だ。
絵はCG多用で、凝っている割に味気なくて前作の方がいいし、主人公が暗いおじさんなのもしんどい。面白味も前作よりぐっと落ちる。でもなんとなく嫌いになれないし、短いのでまたそのうち見てしまうと思う。
(追記)
多分4回目で、長岡に『攻殻機動隊』を見に行ってせっかくなのでネットフリックスで見た。今回も冒頭15分で寝て続きも15分で寝てしまい、3日に分けて見終えたため、なんの捜査をしているのかよく分からなくなる。
バドーが主役だ。クライマックスは義体に草薙素子が憑依してバトーと一緒に戦うのだけど、草薙を憑依させてバトーと一緒に戦うがまず最初にありきで、それであの形態の義体がエラーを起こすという逆算でお話を作ったのではないだろうか。
草薙はふだん何をしているのだろう。
前作同様万人向けではない
押井守が伝えたいメッセージやテーマが前作以上に全面に押し出されている印象。
ただ、その部分があまりに強く出ているためかお話として、エンターテイメントとしては少し評価がし辛い作りであることは確かである。前作よりかは娯楽性が増した気もするが…どうだろう…おそらく気のせいだろう。
伝えたい情報が膨大だったのだろうか。
やはり語ろうとしているものは「人間とは何ぞや」という一点に尽きる。
明確な回答が映画の中で出されているかどうかは正直わからない。
だが押井守が考えたSFであり未来であり人間である。ということは読み取れる。
作品が難しく難解なものと思われるだろうが決してそういう作品ではないと思う。
テーマやメッセージが難しいわけではなく、割と語り尽くされた哲学的な疑問符を、
あえて複雑な提示の仕方をしているだけである。
大きな見せ場もカタルシスも無いので、
お酒を飲みながら盛り上がれるような作品では決してない。
だが、たまにはこういう他人の哲学に興味を示すのも面白いし、映画の楽しみの一つではないだろうか。
これぞ『アニメーション』
この作品を初めて見たのはいつだったか今となっては詳しくは思い出せないが当時小学生だった私は非常に衝撃を受けたの覚えている。
最近攻殻機動隊を久しぶりに鑑賞し、イノセンスもBDで鑑賞した。
この作品は攻殻機動隊、通称攻殻機動隊GITS の続編だ。
イノセンスは攻殻機動隊GITSでネットの海に素子が消えたのちのバトーの孤独を描いた作品であるのだが、イノセンスのアニメとしての凄さはその映像に最も顕著に現れている。
登場するキャラクターのセリフの多くは有名書籍などから引用されたものであったり、必要以上に抽象的なものが多いく、それ故にキャラクターの心情などをセリフから感じ辛くなっている。
その変わりにアニメーションとして映像で彼らを表現している。
細部まで緻密に描かれた作画、妥協することのないCG、この2つが絶妙に組み合わされることによってイノセンスは成り立っている。
不気味なシーンではこちらまでもが本当に不気味さに不安を感じ、孤独を移すシーンではこちらまでもが辛さを感じる。
圧倒的な映像が私たちの中にまで入り込んできて一瞬一瞬を訴えるのだ。
故に私たちは彼ら登場人物の心情をセリフで表現されるよりもより生々しく感じられる。
その意味ではイノセンスは究極の『アニメ』であるだろう。
孤独、人間と人形との違い、幸福をテーマに据えているがそちらはいたって普通に扱われるものであるためレビューでは触れないことにする。
ただ一つ他作品と違うところがあるとすれば私たち視聴者はそのテーマについて感じることができる点であろう。
最後に前作攻殻機動隊から台詞を引用してレビューを終えたいと思う。
「ゴーストのない人形は哀しいもんだぜ。特に赤い血の流れている奴はな。」(バトー)
ノワールではなくハードボイルド
劇場公開当時、号泣した訳だが…。
その時の激情が薄れてしまうのではと、何だか怖くてそれ以来観ていない。
映画評論家の滝本誠さんの
壊れた世界を壊れた人間が彷徨うのがノワール。
壊れないバトーが壊れた世界を彷徨う本作はハードボイルド。
という映画評(確かブロスの特集ページだったと思うのだが…。ちょっと記憶があやふや)を読んで、
何故かまた号泣したのを覚えている。
ここ10年くらいの日本作品(アニメに限らず実写も含めて)で号泣したのはこれだけである。
(当時仕事が忙しすぎて、疲れていただけだったのかもしれないが…。映画はともかく映画評で泣いたのは、もう相当疲れてたからだと思う。)
私にとっては、このイノセンス、ハードボイルドであり、ギリギリとした愛の物語であった。
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