「これぞ『アニメーション』」イノセンス kei@HTTさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ『アニメーション』
この作品を初めて見たのはいつだったか今となっては詳しくは思い出せないが当時小学生だった私は非常に衝撃を受けたの覚えている。
最近攻殻機動隊を久しぶりに鑑賞し、イノセンスもBDで鑑賞した。
この作品は攻殻機動隊、通称攻殻機動隊GITS の続編だ。
イノセンスは攻殻機動隊GITSでネットの海に素子が消えたのちのバトーの孤独を描いた作品であるのだが、イノセンスのアニメとしての凄さはその映像に最も顕著に現れている。
登場するキャラクターのセリフの多くは有名書籍などから引用されたものであったり、必要以上に抽象的なものが多いく、それ故にキャラクターの心情などをセリフから感じ辛くなっている。
その変わりにアニメーションとして映像で彼らを表現している。
細部まで緻密に描かれた作画、妥協することのないCG、この2つが絶妙に組み合わされることによってイノセンスは成り立っている。
不気味なシーンではこちらまでもが本当に不気味さに不安を感じ、孤独を移すシーンではこちらまでもが辛さを感じる。
圧倒的な映像が私たちの中にまで入り込んできて一瞬一瞬を訴えるのだ。
故に私たちは彼ら登場人物の心情をセリフで表現されるよりもより生々しく感じられる。
その意味ではイノセンスは究極の『アニメ』であるだろう。
孤独、人間と人形との違い、幸福をテーマに据えているがそちらはいたって普通に扱われるものであるためレビューでは触れないことにする。
ただ一つ他作品と違うところがあるとすれば私たち視聴者はそのテーマについて感じることができる点であろう。
最後に前作攻殻機動隊から台詞を引用してレビューを終えたいと思う。
「ゴーストのない人形は哀しいもんだぜ。特に赤い血の流れている奴はな。」(バトー)