「ハリウッド映画黎明期の光を照射するイタリア映画監督タヴィアーニ兄弟の映画愛と家族愛」グッドモーニング・バビロン! Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリウッド映画黎明期の光を照射するイタリア映画監督タヴィアーニ兄弟の映画愛と家族愛
ハリウッド映画の黎明期を舞台にして、パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ監督の映画愛と映画への熱い情熱が込められた作品。そこには、イタリア映画の良質な家族愛をファーストシーンからラストシーンまで弛まず描き抜くエネルギーと、イタリア文化を誇りに思う愛国心が、暗闇に輝くスクリーンの光となって観客を照らしてくる。映画が光の芸術であることを改めて認識させてくれる、優しく心地良い光の温もり。ラストの第一次世界大戦の寓話のようなシチュエーションの作られた物語性を唯一の弱点としても、描かれたイタリア人の家族愛の美しさがそのままタヴィアーニ兄弟監督の映画愛で結ばれた絆を窺わせて特別な感慨を呼ぶ。このような神話的物語でハリウッドが映画産業により時代の最先端に突き進む栄華で見せることは、今の映画文化への救済であり、時代を超えた映画讃歌であり、ひとかけらのノスタルジーであり、確かなロマンティシズムであろう。主人公が乗った車から捉えられたグリフィスの撮影風景をスタンダードサイズでフレーミングしたカットに、それが象徴的に表現されていた。音楽、撮影、殆どを無名俳優でキャスティングされた出演者、全てが映画愛で柔らかく包まれている。
1988年 1月12日 日比谷シャンテ・シネ1
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